公開日:2016-04-18
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日光に当たることは、皮膚がんのリスクを高めるのにも関わらず、実際には日光にたくさん当たる女性の方が、日光を避ける女性に比べて長生きできるようだ、というスウェーデン・カロリンスカ大学病院の研究が『内科学雑誌』に発表された。
研究チームは、日光に当たることがどのように死亡リスクに影響を与えるのかを検討するために、29,518名のスウェーデン女性を20年にわたって追跡調査したデータを解析した。これは1990-1992年に当時25-64歳だった女性を集めて実施された『南部スウェーデン・メラノーマ(悪性黒色腫)・コホート』と呼ばれる疫学研究で、その名称の通り皮膚がんが主要なターゲットとされていた。
対象者を日光に当たる度合いに応じて3群に分けてデータ解析を行った結果、最も長時間日光に当たる習慣のある女性は、日光を避ける女性に比べて、心臓病による死亡リスクが40%低くなることが明らかになった。また心臓病・がん以外の死亡リスクも低かったという。そのため、日光浴する女性たちは、がんによる死亡率が相対的に高まった。 |
日光を避ける女性の平均寿命は、最も長く日光に当たる女性に比べて、0.6-2.1年短かった。また日光を避ける女性の中の非喫煙者の平均寿命は、最も長く日光に当たる女性の中の喫煙者の平均寿命と同等だったことから、日光避けることの死亡リスクは喫煙のそれと同等であると考えられたという。
日光に当たることのポジティブな効果のメカニズムは不明だが、理由のひとつとして考えられるのは、近年さまざまな健康効果が注目を集めているビタミンDであるという。ビタミンDは、人が日光を浴びると皮膚で合成される。カルシウム代謝を助けて骨を丈夫にし、また抗がん作用などもあることが報告されている。日光が充分でないために起こるビタミンD欠乏症の健康影響については不確定な部分もあるが、それが喫煙、不活動、肥満に匹敵するリスク因子のひとつであるという研究者もいるくらいである。
ただ、今回のこの観察的な研究においては、参加者のビタミンD状態は不明である。もっと別のまったく未知の因子がからんでいる可能性もあるという。いずれにしてもさらなる研究が必要とされるところである。 「私たちは、最も太陽に当たるグループの中の喫煙者の死亡リスクが、太陽を避けるグループの非喫煙者と同程度であることを発見しました。これは日光を避けるという行為が喫煙と同じレベルのリスク因子であることを示唆しています」と筆頭研究者のペーレ・リンドクビスト博士は語っている。「日光に当たることを制限しすぎるのは、健康に良いどころか、かえって有害である可能性があるのです。」 |
美肌のために・・・と日差しを徹底的に避けている方は、少し気を付けた方が良いかもしれない。
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