公開日:2019-09-10
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テキサス大学オースチン校の研究チームは、風呂やシャワーで温まることで睡眠の質が改善されるかどうかを調べた先行研究を系統的にレビューした結果、就寝の1-2時間前に40-42.5℃のお湯に浸かることが、睡眠を有意に改善するベストの方法であることを発見した、と『睡眠医学レビュー』誌に報告した。
「私たちが既存のすべての研究を調べた結果、そこには研究方法と得られた知見の深刻なギャップがありました」と筆頭研究者で博士候補生のシャハブ・ハギャエフ氏は語っている。「実際に睡眠が改善されるベストの方法を確実に知る唯一の方法は、過去のデータをすべて合わせて新しいレンズを通して見直すことでした。」
研究チームは、5,322件にも及ぶ先行研究をレビューした。水をベースとした受動的な加温法がいくつかの眠りの指標(眠りに落ちるまでの時間、総睡眠時間、睡眠効率―ベッドにいる間に実際に眠っていた時間の割合―、睡眠の質)に及ぼす効果について、あらかじめ設定した条件に当てはまる研究のみを選んでいった。 |
最終的に選ばれた13件の先行研究をメタ分析という統計解析法によって分析した結果、全体的な睡眠の質をもっとも改善するお湯の温度は40-42.5℃であり、就寝の1-2時間前に入浴すると、眠りに落ちるまでの時間が平均10分早まることがわかったという。
お湯で身体を温めると睡眠が改善されることは、すでによく知られた事実であり、それを説明する多くの科学研究が存在する。例えば、睡眠と我々の体幹部の体温(深部体温)は、どちらも脳の視床下部にある体内時計によって調節されていることがわかっている。
体温は、睡眠・覚醒周期の制御に伴って日内変動を示し、午後から夕方にかけての体温は最も低い睡眠時に比べて1-1.7℃高めである。平均的な日内リズムにおいては、通常の就寝時間の1時間前に深部体温が0.5℃ほど低下し、さらに睡眠の中頃~後半に最も低くなるという特徴がある。体内時計が覚醒モードに入ると、体温は上昇を始める。このような体温の日内周期は睡眠周期をリードしており、素早く眠りに落ちて効率良く眠るための本質的な要素なのである。 今回研究チームは、睡眠の質を改善するうえで、深部体温を冷却するための入浴のベストタイミングが、就寝の約90分前であることを発見した。 |
風呂もシャワーも身体の体温調節機構を刺激して、体幹部から手足など末梢への血流を促進するので、体幹部の熱が効果的に除去され、深部体温を下げられる。ゆえに、入浴を生物学的に適切な時間(就寝の1-2時間前)にすれば、自然の体内時計のプロセスを乱すことなく、それを促進して、すぐ眠れるだけでなく、より質の高い睡眠が得られる可能性が高まるというわけだ。
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