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公開日:2024-07-31

妊婦のフッ素曝露は幼児期の神経行動学的リスクに関連する

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出生前のフッ化物への曝露は、幼児期の社会的、感情的および行動学的機能に影響を及ぼすようだ、という米国サザンカリフォルニア大学(USC)の研究結果が発表された。

米国では、虫歯予防のために1945年に開始された政策により、国民の約4分の3がフッ素入りの水を飲んでいる。だが、近年、妊娠中の、特に胎児の脳が発達する時期におけるフッ化物への曝露が、胎児に悪影響を及ぼすことが明らかになってきた。

USCケック医学校の研究者らは、220組以上の母子(母親の平均年齢29.45歳、女児116人、男児113人)を対象に、妊娠中のフッ化物レベルを妊娠後期に採取した尿で測定し、生まれてきた子供の3歳時の行動に関するデータを「就学前児童行動チェックリスト」を使用して収集・解析した。

その結果、研究者らは、胎児期のフッ化物への曝露が0.68mg/L上昇するごとに、子供が臨床的に有意な神経行動学的問題を示すリスクが1.8倍高まることを発見した。

「妊娠中に高濃度のフッ化物を体内にもつ女性から生まれた子供は、3歳の時点で、そうでない子供に比べて、感情的な反応、不安、身体的な不満(頭痛や腹痛など)、自閉症に関連する症状などの神経行動学的問題や内在化障害がより多く見られました」と主任研究者のトレーシー・バステイン准教授は述べている。

攻撃性や注意力の問題などの「外在化行動」を含む他のいくつかの神経行動学的症状との関連性はみられなかった。

本研究の集団レベルにおける知見は、フッ素が神経発達に悪影響をもたらす可能性を示唆する既存の動物実験や、出生前のフッ化物への曝露が幼児期のIQ低下と関連していることを示すカナダ、メキシコ、その他の国で実施された研究結果を補強するものである。研究者らは、この新しい研究結果が政策立案者、医療提供者、および一般の人々に妊娠中のフッ化物摂取のリスクを伝えるのに役立つことを期待しているという。

「これは、米国内でこの関連性を指摘した最初の研究になります。私たちの研究結果は、北米のフッ素添加地域に住む女性が長年にわたって極めて低濃度のフッ素にさらされていたことを考えると、注目にあたいする結果と言えるでしょう」と筆頭研究者のアシュリー・マーリン博士は述べている。

現在、妊娠中のフッ化物摂取を制限するための公式な勧告は存在しないが、研究者らはこれらの研究結果が変化を促す一助となることを期待しているという。

「胎児にとってフッ化物を摂取することによる利点は知られていません」とマーリン博士は述べている。「けれども、現在北米で行われているいくつかの研究で、発達中の脳にかなり重大なリスクのある可能性が示唆されています。」

次のステップとして、研究チームは、妊娠中のフッ化物への曝露が乳児の脳の発達にどのような影響を及ぼしたかを調べる予定だという。

「本研究は米国で妊娠中のフッ化物曝露に関する研究としては初めてのものですが、米国人口全体への影響を理解し、軽減するためには、さらなる研究が早急に必要です」とバステイン准教授はコメントしている。

出典は『JAMA Network Open

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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