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公開日:2025-07-31

妊婦の「炎症性」ダイエットは子供の1型糖尿病リスクを高める

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妊娠中に低レベルの炎症を促進する食事を摂ると、子供の1型糖尿病リスクが高まるようだ、というデンマークの研究結果が『Journal of Epidemiology & Community Health』誌に発表された。

1型糖尿病は、血糖値を調節するインスリンを生産する膵臓のベータ細胞が破壊される自己免疫疾患であり、発症すると一生インスリンの投与が必要になる。

最近、特に先進諸国では、1型糖尿病が毎年3-4%の割合で増加していることから、食生活の変化など環境的な要因の存在が強く示唆されている。免疫系の発達は胎児期から始まることから、母親の妊娠中の食生活が関係している可能性が高い。

研究者らは今回、妊娠中の食事と子供の1型糖尿病リスクの関係を検証するために、デンマーク国民誕生コホート(1996年1月から2002年10月出生)に参加した母親と子供(67,701組)のデータを解析した。

研究者らはまず、妊娠中期の食事調査から母親の食事の「炎症スコア」を算出した。炎症スコアの高い食品としては、赤肉、加工肉、加糖飲料、市販の焼き菓子、白パンやパスタなどの精製穀物製品、砂糖が多量に添加された食品、マーガリンなどトランス脂肪酸を含む食品などが知られている。

子供の1型糖尿病については、デンマーク小児思春期疾病レジストリのデータを照会した。平均17年間の追跡調査期間中に281人(0.5%)が、1型糖尿病と診断された。平均発症年齢は10歳だった。

母親の食事の炎症スコアは、平均値が-0.1で、-5.3から4.1の範囲に分布していた。数字の高いほうが炎症性食品を多く含んでいることを表している。

炎症スコアが高いことは、妊婦の年齢が若いこと、飲酒量が少ないこと、母乳哺育期間が短いこと、社会経済環境が良好ではないことに関連していた。また、高BMIと妊娠12週以降の喫煙にも関連していた。

妊婦の総カロリー摂取量は、炎症スコアに関係していなかったが、赤肉、低脂肪乳、ピザ、マーガリン、ポテト、低カロリー飲料、塩スナックの摂取が多いことは、高い炎症スコアに関連していた。

反対に、タマネギやニンニク、トマト、全粒穀物、コーヒー、緑色葉物野菜、果汁、赤身の魚、紅茶、果物の摂取が多いことは、低い炎症スコアに関連していた。

解析により種々の関連因子の影響を除外(調整)した結果、妊婦の炎症スコアが1単位高まるごとに、子供が18歳までに1型糖尿病を発症するリスクが16%高まることがわかった。

1型糖尿病の発症リスクは、子供の性別や体重には関係なかったが、妊婦のグルテン摂取や喫煙の影響がみられた。グルテンの摂取量が10g高まると、発症リスクは36%上昇した。

本研究は観察研究であるため、妊婦の食生活が1型糖尿病の発症の原因になっているかどうかを確定することはできないものの、「低レベルの炎症状態は免疫細胞に影響を及ぼし、それが子供の健康に重大な問題を起こす可能性があります」と研究者らは述べている。

「妊娠中の3つの因子、すなわち炎症を促進する食事パターン、グルテン摂取、および喫煙が、それぞれ独立に子供の1型糖尿病のリスクを高めているように見えます。妊娠中期は、胎児が将来1型糖尿病を発症するリスクに関連する母親の生活習慣に、特に影響を受け易い時期であるようだ、ということです。」

出典は『Journal of Epidemiology and Community Health

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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