公開日:2015-04-27
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ベッドに入る時間が遅く起きる時間も遅めの人は、早寝早起きの人に比べて、たとえ睡眠時間が同じでも、糖尿病やメタボリック症候群、サルコペニア(筋減弱症)のリスクが高まるようだ。韓国、高麗大学校の研究者らが『臨床内分泌・代謝学雑誌』に発表した。
本研究は、夜型人間と朝型人間の違い、つまりヒトの自然な就寝-起床サイクルのズレがもたらす健康への影響について検討したものである。夜更かしをすると、睡眠時間が減り、睡眠の質も低下する。食事も不規則になりがちで身体活動量も低下し、それらが代謝機能に変化を及ぼして、上述のような疾患リスクを高めると考えられる。メタボリック症候群は、糖尿病、心疾患、脳卒中に関連するいくつかの代謝系リスク(肥満、血圧、血糖など)を併せ持つもので、将来これらの疾患を発症するリスクが高まる。サルコペニアは、ギリシャ語からの造語で加齢に伴って筋肉が減少する現象を指す。筋肉量が低下すると転倒、骨折などのリスクが高まる。代謝系の疾患と共に健康寿命を縮める要因として最近特に注目が集まっている。 |
「ライフスタイルに関係なく、深夜まで起きている夜更かし型の人は早起きの人に比べて、糖尿病やサルコペニアなどの健康問題を起こすリスクが高まるようです」と研究者のひとりである金蘭姫博士は述べている。「これは、夜型人間では眠りの質が低下しやすいことと、喫煙、夜食、深夜TVのような健康的でない習慣に染まり易くなるためだと思われます。」
研究チームは、韓国ゲノム疫学研究というコホート研究の参加者1,620名の睡眠習慣と代謝機能について調査した。参加者は年齢が47-59才で、就寝と起床のサイクル、睡眠のクオリティ、定期的な運動などの生活習慣などについてアンケートに回答した。また採血して代謝機能の測定も行われた。更に、参加者はDEXAと呼ばれるX線機器によって脂肪と筋肉の割合を、またCTスキャンによって腹部脂肪量を測定された。
アンケートから、参加者のうち480名が典型的な朝型人間であり、95名が典型的な夜型人間であることが明らかになった。全体の64.5%を占める残りの者はその中間タイプの就寝-起床サイクルをもっていたという。データ解析の結果、夜型人間は朝型人間に比べて、年齢が若く体脂肪と中性脂肪値が高めの傾向にあり、糖尿病のリスクは73%高いことが明らかになった。同様にメタボリック症候群のリスクも74%高く、サルコペニアのリスクは3倍以上高かったという。
男女に差もみられ、男性の夜型人間は糖尿病とサルコペニアのリスクが各々2.98倍と3.89倍であり、女性の夜型人間では、メタボリック症候群のリスクが2.22倍高かった。 |
集団レベルでは、睡眠パターンの夜型・朝型の違いは明らかに糖尿病、メタボリック症候群そしてサルコペニアに関連しており、体内時計のリズムは代謝系の健康に極めて重要な意味を持っているようだ、と研究チームは結論づけている。
「若者に夜型の人が多いことを考えると、夜型人間と代謝系リスクの問題は、早急な対応が必要な極めて重要な公衆衛生上の課題だと思われます」と金博士は語っている。
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