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公開日:2022-05-30

健康的なライフスタイルがアルツハイマー病の発症を遅らせる

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健康的なライフスタイル(生活習慣)をもつ人は、男女にかかわらず、アルツハイマー病になりにくく、より健康に長生きできるようだ、という米国ラッシュ大学の研究結果が『英国医学雑誌(BMJ)』誌に発表された。

本研究は、健康的なライフスタイルが単に寿命を延ばすだけでなく、アルツハイマー病にもならずに健康に過ごす期間を、より長く延ばす効果があることを示している。

全世界のアルツハイマー病を含む認知症患者数は、2050年には現在の5,700万人から1億5,200万人へと3倍に増加すると予想されている。

充分な身体活動、知的活動、健康的な食生活といった健康的なライフスタイルは、認知症のリスクを減らし、寿命を延伸することが期待できる。

だが、加齢が進むとアルツハイマー病のリスクも高まる。そのため、健康的なライフスタイルは、アルツハイマー病の発症を多少遅らせるとしても、結果的にアルツハイマー病になってからの期間も延ばすことになるのではないかと懸念されていた。

今回、米国とスイスの研究チームは、アルツハイマー病なしに過ごす期間と、なってから過ごす期間の長さに、健康的なライフスタイルが及ぼす影響を検討した。

この研究では、シカゴ健康加齢プロジェクト(CHAP)参加者で認知症の既往がなかった65歳以上(平均年齢76歳)の2,449名のデータが解析された。

参加者は、食事などのライフスタイルに関連する質問に回答し、研究チームが開発した「ライフスタイルスコア」に基づいて採点された。これは、(1)認知症になりにくい健康的な食生活(全粒穀物、緑の葉物野菜、ベリー類が豊富で、ファストフード、揚げ物、牛肉・豚肉など赤肉が少ない食事)、(2)中年以降の認知機能を刺激するような活動(読書、博物館・美術館巡り、クロスワードパズルなど)、(3)週150分以上の身体活動、(4)タバコを吸わない、(5)飲酒は控えめ、の5項目から成っていた。

各々のライフスタイル因子について、あてはまれば1点、そうでなければ0点というふうに加点していき、5点が満点で最も健康的なライフスタイルを意味した。

研究チームは、年齢、性別、民族、学歴などさまざまな影響を及ぼす因子の影響を除いて、参加者の65歳時点における男女の平均余命にライフスタイルが及ぼす影響を算出した。

その結果、あまり健康的でないライフスタイル(スコアが0-1点)の女性の余命は21.1年、男性は17.4年だったのに対し、健康的なライフスタイル(4-5点)の女性の余命は24.2年、男性は23.1年であることが明らかになった。

また、あまり健康的でない(0-1点)女性が残りの人生のうちアルツハイマー病になって過ごす期間は19.3%(4.1年)、男性では12.0%(2.1年)であったのに対し、健康なライフスタイル(4-5点)の女性では10.8%(2.6年)、男性では6.1%(1.4年)であったという。

85歳の時点ではさらに顕著な違いがみられた。

「本研究は、健康的なライフスタイルを実行することによって寿命が延伸し、しかもアルツハイマー病の期間は長くならないことを示唆しています」と研究チームは結論付けた。

出典は『英国医学雑誌(BMJ)

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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