公開日:2021-02-26
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野菜、果物、穀物、豆といった植物中心ダイエットを16週間にわたって実施した参加者は、食後のカロリー燃焼率が18.7%アップした、という米国の責任ある医療のための医師の会などによる新たなランダム化対照臨床試験の結果が『JAMAネットワークオープン』誌に発表された。
植物中心の食事を摂取することは、食後のカロリー燃焼率を高めて減量を促進する結果、肥満者の心血管系リスク因子の改善につながることも明らかになったという。
本研究は、肥満だが糖尿病の既往はない参加者244名(25-75歳、BMI28-40)を、介入群と対照群に1対1の割合で無作為に振り分けた。16週間にわたって、介入群には、果物、野菜、全粒穀物、豆からなる低脂肪の植物中心ダイエットを特にカロリー制限を設けずに食べてもらった。対照群は今までの食事を変えないように要請された。また、どちらの群も、かかりつけ医の指示がない限り、運動や服薬の習慣を変えないように要請された。 |
研究チームが、参加者の試験開始前と終了時の、体内のカロリー燃焼率について、間接カロリーメーターを用いて測定したところ、植物中心ダイエット群では、16週間の介入後のカロリー燃焼率が、介入前と比べて平均18.7%上昇していることが明らかになった。対照群では、カロリー燃焼率の変化はみられなかった。
「この発見は、肥満に苦しむ1億6千万人の米国人にとって画期的なものです」と研究を実施したハナ・カーレオヴァ博士は語っている。「何年、何十年という年月にわたって、毎食後により多くのカロリーを燃焼するようになるということは、体重管理に十分意味のある違いをもたらすからです。」
植物中心ダイエットを行った参加者は、わずか16週間の間に、体重を平均6.4kg落としたが、対照群では変化はみられなかった。植物中心ダイエットはまた、体全体の脂肪量を減らしただけでなく、特にリスクを高める内臓脂肪も顕著に減少させることがX線骨密度測定装置(DXA)を用いた測定で明らかになったという。
植物中心ダイエットは、筋肉脂肪や肝臓脂肪も減少させたことが、一部の参加者を対象にしたMRI画像診断から明らかになっており、筋肉脂肪は34%、肝臓脂肪は10%の減少がみられた。これらの脂肪の増加は、インスリン抵抗性から2型糖尿病の発症に関連することが指摘されている。
「肝細胞や筋細胞の中に脂肪が蓄積すると、インスリンが、グルコース(血糖)を血液中から細胞へ輸送する能力が妨害(インスリン抵抗性)されます」とカーレオヴァ博士は言う。「低脂肪の植物中心ダイエットをたった16週間行っただけで、参加者は細胞中の脂肪を減らし、2型糖尿病の発症リスクを低下させたのです。」 植物中心ダイエット群では、高血圧や心筋梗塞のリスク因子である総コレステロールとLDL-コレステロールも顕著に低下した。これらの変化はすべて、対照群では観察されなかった。 「植物中心ダイエットは体重を減らすだけでなく、心臓代謝系の改善をもたらし、2型糖尿病、心臓病、その他の健康障害のリスクを下げることができるのです」とカーレオヴァ博士は語っている。 |
「私は健康のためにこのダイエットを続けようと計画しています。16週間といわず、一生涯」と研究参加者のひとりはコメントしている。彼は16週間で15.5kgの体重を落とし、代謝も改善された。研究終了後も、彼は植物中心ダイエットを続けて目標体重までの減量を達成し、現在はマラソンも始めてますます快調であるという。
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