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公開日:2018-01-24

ファストフードは長期にわたって免疫系に悪影響を及ぼす

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私たちの身体の免疫系は、高脂肪・高カロリーの食事に対して、細菌感染と同様の反応を示すらしい、ということが最近のドイツ・ボン大学の研究で明らかになった。

不健康な食事は、長期にわたって身体の防御態勢をより過激なものに変え、健康的な食事に切り替えた後も長きにわたって、炎症反応を起こし続けるようだ。これが、西洋型の不健康な食生活と動脈硬化や糖尿病を結びつけているのではないかという。この結果は『細胞』誌に発表された。

研究チームは、1か月にわたってマウスに、西洋型の高脂肪・高カロリーかつ低食物繊維の食事を与えた。マウスは全身性の強い炎症反応を起こし、それは致死的な細菌感染に匹敵するものだったという。

「不健康な食事は、血液中のある種の免疫細胞、特に顆粒球と単球の予想外の増加をもたらしました。これは、骨髄前駆細胞の病変の指標でした」と筆頭研究者のアネッテ・クリスト博士は語っている。この意外な発見を理解するために、マウスの骨髄前駆細胞が調べられた。

 

「遺伝学的な検討によって、事実、西洋型の食事が前駆細胞の多数の遺伝子を活性化することが示されました。それら遺伝子には、細胞の増殖と成熟に関連するものが含まれていました」と主任研究者のヨアキム・シュルツェ教授は語っている。

ファストフードは、遺伝子を活性化して素早く身体の防御態勢を整えさせるようだ。研究チームが、その後マウスに4週間通常の健康的なエサを与えると、急性炎症反応は消失した。けれども、前駆細胞の遺伝的な再プログラムはそのまま維持された。4週間たっても、依然としてファストフードによってスイッチが入ってしまった遺伝子の多くが活性化されたままだったという。

「自然免疫に記憶があることは最近発見されたばかりです」と共同研究者のアイケ・ラッツ教授は説明する。「感染後、身体の防御機構は非常事態を維持して、新たな侵入に備えます。」

研究チームは、このファストフード感知の仕組みを確認するために、120名のヒトの血液細胞を調査した。すると、特に強い効果を持つヒトのいることがわかった。そのヒトたちには、いわゆるインフラマソームの遺伝的な特徴があったという。インフラマソームは、感染因子やその他有害物質を認識して炎症媒介物質を大量に放出するための鍵となる細胞内シグナル伝達複合体である。

不健康な食事は、インフラマソームによってDNAに、いわゆるエビジェネティックな変化を起こし、正常なら近づけないDNAへのアクセスを高める。その結果、細胞はより小さな刺激にも、より強い炎症反応を起こし易くなるようだ。

このような炎症反応は動脈硬化や2型糖尿病の発症を促進する可能性がある。動脈硬化の場合を例にとると、典型的な動脈硬化プラークには大量の脂肪と免疫細胞が含まれる。炎症反応は直接プラークの成長に寄与する。プラークの成長が限界に達すると、破裂して血栓作り出す原因となる。それが脳卒中や心臓マヒを起こすのである。

身体に良くない食事はそのようにして劇的な帰結をもたらす。現代の西洋諸国では平均寿命は依然として延び続けているが、そろそろ限界に達しかけており、今日生まれた子供たちは、親より寿命が短い最初の世代になるだろうと研究者らはみている。不健康な食事と運動不足がその原因を作り出すのである。

「従って今回の研究結果は、重大な社会的意義を有しています」とラッツ教授は語っている。「健康な食事習慣を教育の一部として徹底的に教えることが重要です。そうすれば食品会社の誘惑から子供たちを守ることができるでしょう。子供たちは毎日食べるものを選択します。私たちは彼らに正しい選択ができるように導かねばなりません。」

出典は『細胞』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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