公開日:2024-05-30
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新世代の人工甘味料であるネオテームが、健康なヒトの腸内細菌を病的なものに変える可能性がある、と豪州アングリアラスキン大学の研究者らが発表した。
研究チームは、『Frontiers in Nutrition』誌に発表された研究において、ネオテームが、腸管壁の細胞を死滅させると共に、病的な腸内細菌を増やし腸内細菌叢の健全性を損なう可能性を初めて示した。腸管壁が障害されると、過敏性腸症候群や敗血症などの健康問題を引き起こす。
この研究は、インビトロ(試験管内)で大腸菌(Escherichia coli)と乳酸菌(Enterococcus faecalis)にネオテームを作用させた時の反応を調べたものである。その結果、細菌のバイオフィルム形成や接着性の増加、細胞への侵入など、さまざまな病理学的反応がみられることが明らかになった。 |
ネオテームは、飲料、食品、チューインガムなどに使われている。砂糖よりも甘味が強いため、食品や飲料に使用するのは砂糖よりも少量である。だが、量は少なくても、ネオテームが腸管壁と細菌叢に及ぼす影響によって腸の健康状態が悪化し、過敏性腸疾患のような炎症性疾患やインスリン抵抗性などの代謝性疾患を引き起こす可能性は依然として存在する。
アングリアラスキン大学准教授のハヴォヴィ・チッチガー博士らは、これまでの研究で、他の人工甘味料であるサッカリン、スクラロース、アスパルテームなどにも、ネオテームと同様の腸管壁への障害作用があることを示してきた。
人工甘味料は、ダイエットや、糖尿病で砂糖の摂取が制限される患者のために、重要な役割を果たしている。けれども、チッチガー博士がバングラデシュ・ジャハンギナガール大学のアパルナ・シル博士らと共に行った今回の研究結果は、近年開発された人工甘味料の有毒作用について、更なる研究の必要性を示すものである。
「サッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料の健康への悪影響についての研究は、私たちのこれまでの研究も含めて、最近増加傾向にあります。それらは、腸管壁を障害し、腸内の善玉細菌にもダメージを与えるのです」とチッチガー博士は述べている。 「腸管壁が障害されて細菌が血流中に入ると、下痢や腸炎症、さらには敗血症などの感染症を含む、さまざまな健康上の問題が起こる可能性があります。したがって、最近使われるようになり始めた人工甘味料についても研究することが重要であり、私たちの新たな研究は、ネオテームが同様の問題を引き起こすことを示しています。」 |
「腸内細菌叢で起こるこれらの病原性変化の影響を理解することは極めて重要です。私たちの調査結果はまた、一般的な食品添加物をより広範囲に、そして潜在的な健康への悪影響の根底にある分子メカニズムをより深く理解する必要性を示しています。」
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