公開日:2015-08-10
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中年のころに血圧が高かった人は、30年後に初期の認知機能障害がみられるリスクが高くなるようだ、という米国ボストン大学医療センターの研究結果が『アルツハイマー病学雑誌』に発表された。
若い時からの血圧が長い間に徐々に認知機能に影響を及ぼすことを示唆するものだという。
平均寿命は世界的に延び続けており、80代を迎える人の数がかつてない速さで増加している。これまでにもいくつかの研究で、中年時の心血管疾患のリスク因子、特に高血圧のある人は認知症になり易いことが証明されてきた。けれども中年時の血圧が長い時間経過の後に、初期認知障害を起こすかどうかはわかっていなかったという。
今回、米国の大規模疫学研究『フラミンガム心臓研究』のデータを用いて、ボストン大学の研究チームは、認知症の兆候のなかった参加者378名(うち65%が女性)の50-60歳のときの血圧データと、30年後の彼らが80代になったときの認知機能検査のデータを比較検討した。 |
その結果、中年時に高血圧だった参加者のほうが、80代の認知機能(注意力および実行機能)の検査結果が低い傾向にあることがわかった。特にアルツハイマー病のリスク因子であるApoE4+と呼ばれる遺伝子の保有者の場合には、中年期の最高血圧が高いと30年後の言語流暢性検査が有意に低かったという。
今回報告された結果は、80代を迎えても認知症や明白な認知障害の兆候がない健康な高齢者にも潜在的にある認知機能の低下に対するひとつの洞察を与えるものだと研究チームは述べている。
「認知力の低下はしばしば高齢化に伴う必然的な現象だと思われています。加齢は認知症に対する単独で最大のリスク因子でもあります。けれども脳の加齢に影響を与える変更可能な因子というものもあって、たとえば血圧もそのひとつなのです。これを改善することで脳の健康状態を維持して認知症のリスクを減らすことは可能だと思われます」と主任研究者で神経学の教授であるローダ・アウ博士は説明している。 研究チームによれば、もしあなたが現在中年かそれより若いとして、あなたの血圧が正常範囲を超えていたら、血圧を下げるためのなんらかの手段を取るべく医師に相談すべきであるという。そのためには、身体活動をしたり、ダイエットをして体重を下げたり、あるいは血圧降下剤のような医薬品でもよいだろう。 |
「中年は、高齢者への一里塚です。中年時代に健康に充分気を付けることが、歳を取ってからも良好な認知機能を保つ助けになるでしょう」とアウ博士はコメントしている。
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