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公開日:2024-05-24

世界中の水源が「永遠の化学物質」PFASで汚染されている

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環境内に蓄積しているPFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の将来的な影響を、我々は過小評価している可能性があるようだ、という豪州ニューサウスウェールズ大学からの研究結果が発表された。

PFASは、有機フッ素化合物の一種で、消火剤のような工業製品だけでなく、フライパン、衣服、化粧品、殺虫剤、食品包装などの日用品に普遍的に含まれている。自然には分解されず、環境や人体に蓄積する傾向があるため、「永遠の化学物質」といわれている。

がんなどの健康や環境問題などにPFASは多大な影響を及ぼしていると考えられているが、研究があまり進んでおらず、数多くの不明な点が残されている。今回の研究テーマである水源中のPFASの存在もそのひとつである。

今回研究者らは、『Nature Geoscience』誌に発表された研究で、世界中の地表面及び地下の水源におけるPFAS汚染について検討し、ほとんどの水源で安全上の懸念がある濃度のPFAS汚染を発見した。

「多くの水源で規制上限値以上のPFASが見つかりました」と主任研究者のデニス・オキャロル教授は述べている。

「私たちは、すでにPFASが環境中に深く浸透していることを知っていましたが、それでも、飲料水の摂取基準を超える濃度のPFASが多くの水源で見つかったことには驚きを隠せませんでした。上限値を5%超えるといったレベルではなく、50%以上の高い場合がしばしばみられたのです。」

研究チームは、世界中の水源のPFAS値をまとめるにあたって、政府報告書、データベース、科学文献などを渉猟し、過去20年にわたる45,000地点のデータを集めることができた。これだけの規模で水源のPFAS濃度を調べた研究は世界初である。

オキャロル教授は、今回の発見が、ダムなどの水源でのものであり、飲料水自体の測定ではない点を強調している。実際の飲料水は、浄水場で処理されているので、PFAS濃度も低下している可能性が高い。

ただ、飲料水中のPFAS濃度を定期的に測定しない地域もあるので、本当のところはわからない、とオキャロル教授は指摘している。

それでも「飲料水は基本的に安全であり、私は飲むことに躊躇はありません」と教授は言う。「むしろ私は、ペットボトルのほうが良いという考え方を支持しません。なぜなら、ペットボトルの水も、水道水と特に異なる処理をしているわけではないからです。」

「ただ、飲料水中のPFASレベルを監視し、データを簡単に利用できるようにすることには確かに価値があると思います。」

PFAS汚染が予想よりも深刻だった原因として考えられるのは、限られた種類のPFASのみが監視および規制されていること、また、消費者製品中のPFASレベルが予想よりも高いためではないか、と研究者らは考察している。

「環境中には、私たちが測定していない本当の意味で未知数のPFASが存在します」とオキャロル教授は言う。「衣類や食品の包装などの商業製品には、私たちが思っているよりもはるかに多くのPFASが含まれているのです。」

出典は『Nature Geoscience

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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