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公開日:2019-07-31

不健康な食生活が、高齢者のフレイル(虚弱)リスクを高める

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食事の全般的なクオリティ(質)が低いことは、フレイル(虚弱)になるリスクを高めるようだ、というオランダ・アムステルダム自由大学からの研究報告が『米国老人医学会雑誌』に発表された。動物性ではなく植物性たんぱく質の摂取が重要かもしれないという。

研究チームは、米国の「健康ABC」研究という疫学研究の参加者で、地域社会に暮らす70-81歳の男女2,154名を対象に検討をおこなった。対象者の半数が女性、7割が白人、平均体格指数は27.2(日本では25以上が肥満、米国では30以上)だった。

研究開始時の調査では、直前の1年間の食生活が食品摂取頻度調査票を用いて調べられた。食事の質については、健康食事インデックスを用いて、「貧しい」「中程度」「良い」の3つに分類した。健康食事インデックスは、多様な食品をバランスよく食べているか、健康に良い果物や野菜を豊富に摂っているか、糖分、脂質、塩分を摂り過ぎていないか、などを評価する。対象者の6.5%が「貧しい」、72.9%が「中程度」に分類された。

フレイルの程度については、「フリードの5点フレイル表現型」という評価指標を用いて、0点を「頑健」、1-2点を「フレイル予備群」、3-5点を「フレイル」とした。調査開始時点で「頑健」は1,020名、「フレイル予備群」は1,134名で、「フレイル」の者はいなかった。

4年間の追跡調査期間中に、研究開始時点で「頑健」もしくは「フレイル予備群」だった2,154名のうち277名が「フレイル」と診断された。また、研究開始時点で「頑健」だった1,020名のうち629名が「フレイル予備群」か「フレイル」と診断された。

コックス比例ハザードモデルという統計解析手法を用いて、食事の質とフレイルのなり易さの関連を分析したところ、食事の質が「貧しい」か「中程度」だった人は、食事の質が「良い」だった人に比べて、4年間でフレイルと診断されるリスクが、それぞれ92%と40%高かった。

カロリー摂取量や総たんぱく質摂取量とフレイルのなり易さの間には関連がみられなかった。

「頑健」な人の中では、植物性たんぱく質の摂取量が低かった人ほど、「フレイル予備群」あるいは「フレイル」と診断されるリスクが高まった。植物性たんぱく質の摂取量が1日あたり10g少なくなるごとに、リスクが20%高まったという。

食事全体の質と植物性たんぱく質の摂取量の少なさが、高齢者のフレイルのリスクを押し上げているようであり、カロリー摂取や総たんぱく質摂取量、動物性たんぱく質摂取量とフレイルの間には関連性をみつけられなかった、と研究チームは結論付けている。

「フレイルの発症における、たんぱく質のような単一の栄養素の役割は完全にはわかっておらず、さらなる研究が必要とされています。本研究では、全般的な食事の質が重要であることが示唆されています」と筆頭研究者のリンダ・ヘンゲヴェルトはコメントしている。

出典は『米国老人医学会雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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