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公開日:2014-06-23

ベストの子宮がん検診は?

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子宮(頸)がん検診といえば、子宮頚部細胞診(PAPテスト)が一般的だったが、最近ではHPV検査というものもある。どちらかひとつで充分なのか、それとも両方必要なのだろうか。米国ボストン大学医学部の研究チームによれば、ひとつでいいから定期的に受診することがなによりも重要であるようだ。

今回研究チームは、『内科学年報』誌オンライン版のコメント欄で、子宮がん検診の利点と欠点、どちらか一方あるいは両方を受診した場合の得失について考察している。

細胞診は、1940年代にパパニコロウ博士によって開発されて以来60年以上の伝統をもつ、子宮がん検診のもっとも標準的な検査法である。集団検診によって子宮がんによる死亡率は80%低下したといわれ、女性の健康維持にきわめて重要な役割をはたしてきた。

しかし、1990年にHPV(ヒトパピローマウイルス)がほとんどの子宮頸がんの原因であることが明らかになり、子宮がんの予防に対する考え方は劇的に変化した。HPVに感染したかどうかを調べるHPV検査が子宮がん検診に導入され、予防のためにHPVワクチンを10代から接種することが推奨されるようになったのである。

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そして、最近(2014年4月)になって米国FDA(食品医薬品管理局)は、HPV検査を25歳以上の女性の子宮がん検診の標準法にするとの決定を下した。しかし、研究チームは、HPV検査だけを標準的なスクリーニング法にすることには疑問が残るという。

確かに、過去の大規模調査によって、1回のHPV検査の検出率は1回の細胞診よりもはるかに高いことが明らかになっている。細胞診のがん検出率はよくても7割程度に過ぎないが、HPV検査なら95%以上ある。インドでの調査では、1回だけ細胞診を受診しただけでは子宮がん死亡率は下がらないが、HPV検査なら、がん死亡率を半減させることができたという。

1403500632 けれども、米国で3年ごとに検診を受けている女性を対象にした研究では、次の検診までの3年以内にがんを発症するリスクは、細胞診で0.78%、HPV検査で0.34%、両方の検査を受けている女性で0.30%と見積もられている。1回だけではだめな細胞診も定期的に受診すれば充分効果的な検査であるといえる。

もっとも、HPV検査だけを定期的に受診していれば、細胞診だけを定期的に受診するより2倍安全であり、HPV検査だけで充分なようにも見える。両方受けても0.34%が0.30%に下がるだけで劇的な改善は見込めない。

研究チームによれば、HPV検査は一般的になってからの期間が短いため、潜在的な問題を見落としている可能性があるという。また検査にかかる医療費増加の問題や、検査間隔は3年がベストかなど解決すべき点も残されている。

「1回の細胞診では、それほどがん予防効果は望めないのですが、3年ごとに繰り返し細胞診を受診することで効果的に子宮頸がんの発生率を低下できることが明らかになっています。それに現在までのところ、何十年という長期にわたるデータが存在するのは細胞診だけなのです」と研究チームの一人で産婦人科准教授のパーキンスは語っている。

「私たちは、子宮頸がん患者の多くが、最近のスクリーニング検査を怠っていた女性であることも忘れないようにすべきです。それに、HPVワクチンの接種率を高めることも、将来的に子宮頸がんを減らすために重要でしょう」とパーキンスは付言している。

出典は『内科学年報』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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