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公開日:2022-04-25

ベジタリアンの食事は関節の痛みを抑える?

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低脂肪のビーガン食なら、カロリー制限なしにリウマチ患者の関節の痛みを抑えることができるようだ、という研究結果が発表された。ビーガンというのは、厳密な菜食主義者のことで、ミルクやタマゴを含めた一切の動物性食品が禁じられている。

「責任ある医療のための医師会」が『米国生活習慣医学雑誌』に発表したこの研究によれば、患者は体重も減り、血清コレステロール値が改善したという。

関節リウマチは、一般的な自己免疫疾患であり、通常、関節の痛み、腫れ、そして永続的な損傷さえも引き起こす。

今回の研究では、参加者は研究開始時に、主観的な指標として、視覚的アナログ尺度(VAS)を用いて、過去2週間の関節の痛みを自己評価した(「痛みなし」から「考えられる最悪の痛み」まで)。さらに、客観的な指標として、各参加者の疾患活動性指標-28(DAS28)が、関節の圧痛、腫れ、C反応性たんぱく質値(CRP、体内炎症の指標)に基づいて計算された。DAS28の値は、関節リウマチが重症化するにしたがって高くなる。

研究チームは、関節リウマチと診断された44名の成人患者を、以下の2つのグループに振り分けた。第1グループ(ビーガン期)は、4週間にわたってビーガン食を摂り、続く3週間も追加の食品を排除し、その後9週間にわたって排除されていた動物性食品を個別に再導入していった。食事そのものは提供されず、参加者は、研究チームからのガイダンスにしたがって、自分で食事を調製および購入した。第2グループ(対照期)は、食事に制限は設けず自由に食べることとし、その代わりに、プラセボ(効果をもたない偽薬)のカプセルを受け取って16週間摂取した。どちらの参加者も終了後、もう一方のグループ(ビーガン期から対照期へ、あるいは対照期からビーガン期へ)に移ってさらに16週間それを実行した。

試験の結果、ビーガン期の実行後には、参加者の症状(DAS28スコア)は平均2ポイント減少(改善)したが、対照期の実行後には、平均0.3ポイントの減少(改善)に留まった。関節の腫れの平均発生数は、ビーガン期では7.0件から3.3件へと減少したが、対照群では、4.7件から5件へと実質的に増加した。参加者のビーガン期における自覚的な痛み(平均VAS)も、対照期のそれと比較して、統計的に有意な改善がみられた。

関節の痛みと腫れが減少したことに加えて、ビーガン期には平均6.5kgの体重減少がみられた。対照期には逆に平均1kgの体重増加が観察された。さらに、ビーガン期には、総コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロールの低下も観察された。

「植物ベースの食事は、関節リウマチに苦しむ何百万もの人々に、お勧めできる関節痛の緩和法です」と筆頭研究者のニール・バーナード医師は語っている。「その副作用といえば、体重減少とコレステロール低下など、有益なことばかりです。」

出典は『米国生活習慣医学雑誌

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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