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公開日:2024-06-27

プラントベースの食生活は心血管代謝疾患やがんのリスクを下げる

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ベジタリアン(菜食主義)やビーガン(厳密菜食主義)などに代表されるプラントベースの食事は、心血管疾患やがんのリスクに関係する様々な代謝パラメータを良好に保ち、死亡リスクの低下に関連しているようだ、という先行研究49件のアンブレラレビューが『PLOS ONE』誌に発表された。

食生活が心血管代謝疾患やがんのリスクを高めるという研究はこれまでたくさん報告されてきたが、その食事の中心となっていたのは、肉(特に赤肉)、精製穀物、砂糖、塩であり、野菜、果物、全粒穀物、豆類の少ないことが特徴だった。逆にプラントベースの食品を中心とした食生活が、心血管疾患やがんのリスクを下げることも報告されてきたが、そのトータルの効果については依然として不明な点が残されていた。

アンジェロ・カポディッキ博士らボローニャ大学の研究チームは、プラントベースの食生活の潜在的な有効性についてさらに詳しく知るために、2000年1月から2023年6月までに発表された49件のメタ分析(複数の研究をまとめて再分析するもので、疫学研究の中で最も信頼性が高い)をさらにまとめた、いわゆる「アンブレラレビュー」を実施して、プラントベースの食生活と心血管疾患やがんのリスクとの関連を明らかにした。

解析の結果、トータルにみて、ベジタリアンおよびビーガンの食生活は、心血管疾患やがんなどの様々なリスク因子(血圧、血糖値、BMIなど)について、より良い健康状態と関連付けられることが明らかになった。とりわけ、プラントベースの食生活は、虚血性心疾患、消化器がん、前立腺がんの発症リスクを低下させ、また心血管疾患の死亡リスクを低下させることに関連していた。

ただし残念なことに、妊婦の妊娠糖尿病や妊娠高血圧に関しては、プラントベースの食事は効果がみられなかった。

全体的にみて、プラントベースの食生活は、顕著な健康効果をもたらすことが、これらの研究から明らかになったものの、研究者らは、アンブレラレビューという研究の性格上、各研究に存在する多くの違い(プラントベースの食事の定義や、対象者の人種、民族、居住地域などが異なるだけでなく、研究期間もさまざまであり、それ以外にも異なる点が多数存在する)によって、統計的な信頼性には限界があると述べている。

さらに、プラントベースの食事の中には、ビタミンやミネラルの欠乏症を引き起こしやすいものも存在する(そのためビーガンはサプリメントの摂取を推奨されることが多い)。そのため、研究者らは、プラントベースの食生活を大々的に推奨するためには、さらなる研究が必要だと警告している。

「私たちの研究は、動物性食品を一切摂取しない食生活が、心血管系疾患とがんのリスクに及ぼすさまざまな影響を評価したものであり、ベジタリアンの食事が21世紀の人間の健康に対する二大脅威である心血管系疾患とがんに対抗するための効果的な予防戦略のひとつになり得ることを示しています」と研究者らはまとめている。

出典は『PLOS ONE

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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