公開日:2018-12-21
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オメガ-3系脂肪酸を含む魚介類が豊富な食生活を送っている者は、ファストフードやテイクアウト食品の多い食生活を送っている者に比べて、うつ病の傾向が有意に低いようだ、という豪州ジェームスクック大学の研究結果が発表された。
研究チームは、豪州大陸の南方にあるトレス海峡諸島で、ファストフード店のある島(ワイベン島)とない島(メル島)の、各々100人あまりを対象に聞き取り調査を行った。参加者は、食生活について回答すると共に、うつ病の症候を検査された。また血液検査も実施された。
「私たちは彼らの食事について聞き、さらにうつ病レベルを数値化し、血液検査も行いました。予想通り、ファストフード店がないメル島の島民は、ある方の島民に比べて、魚介類の摂取が統計的に有意に多く、テイクアウト食品の摂取が少なかったのです」と筆頭研究者のマキシムス・ベルガー博士は述べている。 |
さらに研究チームは、中程度から重度のうつ症状をもつ者が、ファストフード店のある島では16人いたのに対して、ない島ではわずか3人だけだったことを発見した。
「大うつ病の症状を示した者は、比較的低年齢で、テイクアウト食品の摂取量が高い傾向がありました」とベルガー博士は述べている。
興味深いことに、血液検査を実施した結果、住んでいる島によって、2種類の脂肪酸の血液濃度に違いがあることが明らかになったという。
「ある種類の脂肪酸(オメガ-6系脂肪酸)は、うつ病に促進的に働き、テイクアウト食品に多く含まれるもので、ファストフード店のあるワイベン島の島民で高かったのです。別の種類の脂肪酸(オメガ-3系脂肪酸)は、うつ病に対して予防効果をもつもので、魚介類の摂取の多いメル島の島民で高めでした」とベルガー博士は説明している。
ファストフードを含む西洋型の食事にはうつ状態に関連するオメガ-6系が多く含まれており、オメガ-3系はほとんど含まれていない。
「伝統的な食生活を営む国々では、オメガ-6系とオメガ-3系の摂取比率は1:1ですが、西洋型食生活をする国々では、20:1と、圧倒的にオメガ-6系が多いのです」とベルガー博士は言う。 主任研究者のゾルタン・サルニャイ教授によれば、一般集団に比べて、島民やアボリジニーはストレスから精神を病むものも多く、場所によっては7人に1人がうつ病であることもあるという。 |
「うつ病は複雑です。それは社会や環境因子に関連しており、それを癒す単純な魔法の弾丸は存在しません。けれども私たちのデータから、オメガ-3系脂肪酸を豊富に含む魚介類の摂取と、オメガ-6系脂肪酸を含むテイクアウト食品を避けることは、有効といえるかもしれません。」
サルニャイ教授は、今回のデータはなにかを結論づけるためにはまだまだ不十分ではあるものの、島嶼部やへき地における健康な食品へのアクセスを増やす努力はすべきだろう、と述べている。「それらの優先順位は高いでしょう。というのも、健康な食品は精神だけでなく糖尿病や心臓病などの予防にも有効であることが示されているからです。」
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