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公開日:2025-09-29

オメガ3の豊富な食事が女性のアルツハイマー病を予防するかも

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オメガ3脂肪酸には、女性のアルツハイマー病を予防する可能性があるようだ、という英国キングスカレッジロンドンとクイーンメアリー大学の研究が発表された。

血液中の脂肪を分析したところ、アルツハイマー型認知症の女性は、健康な女性に比べて、オメガ3脂肪酸などの不飽和脂肪が顕著に減少していることが明らかになったという。

興味深いことに、アルツハイマー型認知症の男性と、健康な男性では、そのような顕著な違いは観察されなかった。これは、アルツハイマー病において、これらの脂肪が、男女で異なる役割を果たしている可能性を示唆するものである。

脂肪は、健康な脳機能の維持に極めて重要な役割を果たしているので、女性にアルツハイマー病が極めて多い原因に、この不飽和脂肪の違いが関係しているのかもしれないということだ。

アルツハイマー病のリスクに対して、脂肪が及ぼす重要な役割が男女で異なる可能性があることを明らかにしたのは、本研究が初めてである。

「女性は、アルツハイマー病の影響を不均衡に受けており、80歳以上の女性は男性よりもアルツハイマー病と診断される割合がたいへん多いのです」と本研究の主任研究者であるクリスティーナ・レギド=キグリー博士は述べている。

「原因究明の過程で私たちが発見した、最も驚くべき事実のひとつは、健康な男性と認知機能障害のある男性では、これらの脂肪に全く違いがないのに、女性には大きな違いが見つかったことでした。本研究は、アルツハイマー病における脂肪代謝が男女の間で異なっていることを明らかにするものであり、新たな研究分野への道を拓くものと言えるでしょう。」

研究チームは、アルツハイマー型認知症患者、軽度認知障害患者、および認知的に健康な人、合せて841名を対象に、質量分析法を用いて、血漿中の700種類の脂肪を個別に分析した。

脂肪は多くの分子からなっている。飽和脂肪は、一般に「不健康」とか「悪玉」であると考えられており、不飽和脂肪は「健康的」と考えられている。オメガ脂肪酸は、この不飽和脂肪の仲間である。

分析の結果、アルツハイマー病の女性は、健康な女性に比べて、いわゆる「不健康な脂肪」である飽和脂肪が大きく増加しており、逆に「健康的な」オメガ脂肪酸が大きく減少していることが明らかになった。

研究者らは、アルツハイマー病と脂肪の間には、因果関係が存在することを示唆する統計的な証拠があるが、この関係が確固としたものであることを確認するためには臨床試験を行う必要がある、とも述べている。

「私たちの研究は、女性は脂肪分の多い魚やサプリメントなどを通じて、食事からオメガ脂肪酸を摂取するようにすべきであることを示唆しています。しかし、脂肪組成の変化がアルツハイマー病の生物学的経過に本当に影響を与えるかどうかを判断するには、臨床試験が必要です」とレギド=キグリー博士は述べている。

「女性のほうが男性よりもアルツハイマー病と診断される割合が多いことは、研究者の間では以前から知られていました」と本研究論文の筆頭著者であるアスガー・レトリンド博士は述べている。

「この点については更なる研究が必要ですが、私たちは大きな集団において脂肪の男女間における生物学的差異を検出し、血中におけるオメガ脂肪酸を含む脂肪の重要性を示すことができました。これはこれまでになかったことです。この結果は非常に印象的で、私たちは現在、女性においてこの変化が人生のどの時期に起こるのかを研究しています。」

本研究では、アルツハイマー病の女性が男性と比較して一部の不飽和脂肪のレベルが低いことが示されたが、その意味を理解するためには、この差異の背後にあるメカニズムを理解し、食生活を含むライフスタイルの変化が影響しているかどうかを明らかにするなどの、さらなる研究が必要である。さらに、より民族的に多様な集団を対象に、同様の効果が見られるかを確認するための研究も行う必要があるだろう。

出典は『Alzheimer’s & Dementia

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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