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公開日:2020-12-25

たんぱく質、炭水化物、脂肪の供給量が、平均寿命を左右する?

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主要栄養素(たんぱく質、炭水化物、脂肪)の供給量は、年齢別の死亡リスクに関連しているようだ。これは主要栄養素供給量、生命表、経済データに基づいた、現在までで最も詳細な研究成果であるという。

「私たちは、脂肪とたんぱく質の供給量が高い(脂肪が摂取カロリーの40%、たんぱく質が16%、残りが炭水化物)国で、若年者が早死するリスクが最も低いことを発見しました」と主任研究者のアリステア・シニア博士は述べている。「けれども、高齢者になると、脂肪ではなく、それを炭水化物に置き換える方が死亡リスクは低下するのです。」

本研究は、高い評価をもつ学術誌『国立科学アカデミー論文集』に発表された。

主要栄養素というのは、カロリーになる栄養素のことであり、たんぱく質、脂肪、炭水化物の3種類がある。各々に違った役割があるが、エネルギー源になるという点で共通している。

研究チームは、国民全体の死亡率を最も低くする食糧供給量が、年齢に関係なく1人あたり1日3,500キロカロリーであること、けれども主要栄養素の割合は、年齢によって異なることを発見した。

50歳未満の人々の場合には、脂肪と炭水化物から、各々40%と45%のカロリーを、たんぱく質から16%のカロリーを摂ることが、死亡率を最も低下させる。けれどもそれより上の年齢層においては、脂肪を22%に、たんぱく質を11%にして、残りをすべて炭水化物にするほうが死亡率は低くなることが明らかになった。

「これはきわめてクリアな結果であり、50歳以上の人々においては、たくさんの炭水化物の供給が重要になるという、明確なシフトがみられたのです」とシニア博士は述べている。

「ただ、注意すべきは、これが個人ベースでなにを食べたらよいかという推奨ではまったくないということです。この結果はあくまでも、国民1人あたりで計算した国全体への供給量が、という話なのです。これは理論的には、国民1人が毎日食べる上限量を意味しているわけですが、国全体の食糧流通と個人での実際の消費は単純には結びつきません。両者の関係については私たちもさらに検討していきたいと考えています。」

「食糧供給量のデータは食事の直接的な指標ではありませんが、それでも国民の食環境の違いを表わす良好な指標になるということです。個人の食生活を詳細に研究してはじめて得られるようなレベルの情報が得られるなんて本当に驚きです」と共同研究者のひとりデビッド・ラウベンハイマー教授は述べている。

「中高年者の死亡率を減らすために、炭水化物のたんぱく質に対する割合を高めれば良いという発見は、動物実験でも証明されています」ともうひとりの共同研究者であるスティーブン・シンプソン教授は述べている。

■研究方法について

方法論的な観点からも、本研究はきわめて興味深いものであるという。研究チームは、103か国から食糧供給データと1,879件の生命表(性・年齢ごとの平均余命が記された表)を用いて、国レベルでのカロリー摂取量と主要栄養素のバランスが、年齢ごとの死亡率に及ぼす影響を検証した。そして、時間的・経済的な要因を考慮しても、主要栄養素の供給量が、年齢別の死亡率に強く影響していることを発見した。

「この同じ統計手法を使えば、死亡リスクのパターンとすべての種類の食品(植物性や動物性)や食事(地中海型食事など)の関係を明らかにできるでしょう」とシニア博士は述べている。

出典は『国立科学アカデミー論文集

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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