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2021-11-30

若さを保つにはクスリよりダイエット?

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食事は、薬よりはるかに強い効果を、細胞内部に及ぼすようだ、という研究結果を豪州シドニー大学の研究チームが発表した。

この前臨床試験(動物実験)は、糖尿病や脳卒中、心疾患といった病気の進行を抑えるためには、薬よりも食事の方が重要であることを実証したものだという。

研究チームは、マウスを用いた実験で、毎日の食事のカロリーや三大栄養素のバランスのほうが、3種類の一般的な処方薬よりも、加齢や代謝的健康に及ぼす影響が強いことを示した。結果は『細胞代謝作用』誌に報告された。

この研究は、三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)の特別な組み合わせが、加齢、肥満、心疾患、免疫不全、代謝疾患に対して予防的に作用する、というマウスとヒトを対象に行われた、研究チームの先駆的な業績に基づくものだ。

主任研究者のスティーブン・シンプソン教授は、食事に含まれるたんぱく質などの栄養素が、さまざまな医薬品と同じ代謝経路に作用することを指摘する。けれども、食生活を変えることなく代謝的健康や加齢に作用してそれを修復する医薬品を開発するために、莫大な費用と年月が費やされてきた、と教授は言う。

「食事は、強力な薬なのです。ところが、現在は食事がどんな影響を及ぼすかをほとんど考えることなく薬が投与されています。まったく同じ代謝経路に作用するように作られている場合でさえ、そうなのです」とシンプソン教授は語っている。

研究チームは、医薬品と食事のどちらが、実際に代謝経路に強い影響力を持つのか、両者が同時に存在したときに、一方が他方の作用を弱めたり逆に強めたりするのではないか、と考えて検討を行った。

「私たちは、食事の組成の方が、通常の薬物よりもはるかに強力な効果をもたらすことを発見しました。しかも医薬品は多くの場合、食事の効果を弱めこそすれ強めることなどなかったのです」とシンプソン教授は語っている。

「人間も基本的にはマウスと同じ栄養素の代謝経路を共有していますから、人間においても、薬物より食事を見直すほうが、はるかに良い結果をもたらす可能性があることを示唆しているのです。」

■研究の詳細

研究チームは、大掛かりなマウスの実験を行った。そこでは、40種類もの、異なるカロリーおよび三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)組成をもつ食事、そして医薬品の組み合わせを作り、その効果を複数のマウスで検証した。研究は、代謝のカギとなる肝臓に対する、3種類の抗加齢薬の効果を検証するようにデザインされていた。

この研究の重要なポイントは、シンプソン教授らが開発した栄養の幾何学的フレームワークが使われた、という点であるという。このフレームワークによって、他の大部分の研究にみられるような単一の栄養素の効果だけを取り出して解析するのではなく、健康と疾病に影響する複数の栄養素の共存と相互作用の解析が可能になった。

本研究は、「なにを食べる?」と「どのように歳をとる?」の間に潜むメカニズムにメスを入れる新たなパズルの欠片を提供するものであるという。

実験の結果、研究チームは、摂取カロリーと、三大栄養素のバランスが、肝臓に対して強い影響をもつことを発見した。たんぱく質とカロリー量がとりわけ強く影響した。それは代謝経路だけでなく、我々の細胞機能のもっと根底にあるプロセスにまでそれは及んだという。

たとえば、たんぱく質を食べる量は、ミトコンドリアの活性に影響した。ミトコンドリアは、すべての細胞でエネルギーを生産する最も重要な細胞内器官である。

これは細胞全体の活性化につながる。摂取たんぱく質とカロリーが増えることで、細胞が遺伝子から、正常な細胞活動と新しい細胞の生成に必要なたんぱく質を正確に作り出すプロセスの信頼性が高まるからだ。細胞活動と新しい細胞の生成は、直接的に加齢にリンクしている。

これとは対照的に、薬物は、主として食事に対する細胞の代謝応答を弱める方向に作用するので、基本的には細胞を活性化しなかった。

研究チームは、医薬品と食事成分の間に、より特殊な相互作用のあることも発見した。

ある抗加齢薬は、食事由来の脂質と炭水化物によって起こる細胞の変化に、より大きな効果を示したが、別の抗がん薬と抗糖尿病薬は、たんぱく質がミトコンドリアに作用するのを妨害した。

筆頭研究者のデビッド・ルクチュール教授は、本研究が非常に複雑ではあるけれども、多くの異なる食事を同時に検討することの重要性を示すものになっている、と語っている。

「このアプローチは、食事とわたしたちの健康と生理作用の相互関係を包括的に知ることができる唯一の方法なのです」とルクチュール教授は言う。

「わたしたちはみな、食べるものが健康に影響を及ぼすことを知っています。本研究は、食物がわたしたちの細胞の働きそのものに、いかに劇的な影響を及ぼしているかを示しています。これによって、わたしたちは、食事がわたしたちの健康や加齢にどのようなインパクトをもっているかをより正確に洞察することが可能になるのです。」

出典は『細胞代謝作用

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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