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2020-08-11

日本人が世界で最も長寿である理由:食と栄養からの考察

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伝統的な食事に加えて、第二次大戦後の食生活の欧米化が、日本人の平均寿命をトップに押し上げた理由のひとつであるようだ、という国立がんセンターの報告が『欧州臨床栄養学雑誌』に掲載された。

G7主要7カ国(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)中で、日本人は男女ともに最も平均寿命が長い。1960年代の初めには、日本人の平均寿命は7カ国中で最も短かった。それは脳血管疾患(特に脳出血)と胃がんの高い致死率のためだった。それが次第に減少し、虚血性心疾患と他のがんの割合は低いままであったことから、日本人の平均寿命は飛躍的に延びた。

日本において虚血性心疾患とがんによる死亡率がもともと低かったのには、いくつかの理由がある。まず、肥満者の割合が低いこと。他に国では18歳以上の肥満者の割合が2割を超えているのに対して、日本では男女共に5%以下と極めて少数に留まっている。

次に、赤肉(牛肉や豚肉など赤い肉の総称)の摂取が少ないこと。これは肉類に多く含まれる飽和脂肪酸の摂取量が少ないことを意味する。飽和脂肪酸は、虚血性心疾患のリスクを高める。逆に、日本人は魚介類の摂取が多い。魚介類に豊富なオメガ-3系脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸の一種で、虚血性心疾患のリスクを低下させることが多くの研究で示唆されている。

大豆などの植物性食品が多いこともまた、特徴のひとつである。大豆に豊富に含まれるイソフラボンには、抗がん作用や、虚血性心疾患のリスクを下げる作用が報告されている。これが日本人に乳がんと前立腺がんの死亡率が低い原因である可能性がある、と著者は言う。

大豆の発酵食品(納豆など)もまた、日本人の総死亡率と心血管疾患による死亡率を下げることが報告されている。

大豆はまた良質な植物性たんぱく質の供給源であるが、植物性たんぱく質の摂取もまた虚血性心疾患のリスクを下げる働きがある。動物性たんぱく質である赤肉の代わりに大豆を食べることでがんによる死亡率が低くなることも報告されている。

日本では、砂糖とジャガイモの摂取量が少なく、無糖の緑茶を良く飲むという特徴がある。これが、肥満の世界的な流行から日本を保護しているのみならず、虚血性心疾患や乳がんといった、肥満関連の死亡リスクを下げる効果をもたらしている。緑茶自体にも、死亡リスクを低下させる効果が認められる。

戦後、脳血管疾患による死亡率が減少した理由もいくつか挙げられる。まず、乳製品など動物性食品の摂取が多くなったこと、それによって飽和脂肪酸、カルシウムの摂取が高まった。飽和脂肪酸がいつも悪者というわけではない。昔の日本人は、あまりにも脂肪を摂らなさ過ぎて血管を作るコレステロールが足りなかったのである。

塩分の摂取量が低下し、それが血圧低下に結びついたことも、脳血管疾患の死亡率が低下した大きな原因のひとつである。昔の日本人は、極めて塩分の多い漬物を多量に摂取することが多かった。塩分摂取の低下はまた、胃がんが低下したことの原因でもある。

日本人は、穀物、野菜、果物、魚介類、乳製品など、さまざまな食品を摂取する傾向が高い。この多様性に満ちた食事パターンも、日本人の長寿に関連している可能性が高い。食事バランスガイドを日本政府は策定しているが、その順守率の高さは、総死亡率と反比例することが疫学研究で示唆されている。

植物性食品と魚介類が豊富な典型的日本食を基本に、肉、牛乳、乳製品を含む欧米型の食事がほどよく入り込んだ近年の日本人の食習慣の変化が、日本人の長寿をささえる助けになっていることは間違いないだろう。

出典は『欧州臨床栄養学雑誌

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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