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公開日:2025-04-24

オフィスのコーヒーマシンから大量のコレステロール上昇物質

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オフィスや公共施設に設置されているコーヒーマシンで淹れたコーヒーには、大量のコレステロール上昇物質が含まれている可能性が高いようだ、というウプサラ大学とチャルマース工科大学の共同研究結果が発表された。これらの物質は濾紙に吸着して除去されるため、紙フィルターで濾過する通常のドリップ式コーヒーにはほとんど含まれない。

ポットで煮出したコーヒーに、最悪のコレステロール上昇物質であるジテルペンのカフェストール(cafestol)とカーウェオール(kahweol)が含まれていることは、スウェーデンではよく知られた事実である。最新版の栄養指針にも記載されており、煮出しコーヒーの摂取は減らすか控えるように推奨されている。

通常の紙フィルターを使うドリップ式のコーヒーメーカーなら、これらのコレステロール上昇物質は、ほぼ完全に除去できることもわかっているのだが、会社や公共施設でしばしばみかける通常のコーヒーマシンでこれらのコレステロール上昇物質が除去されているか否かは、これまで検討されていなかったという。

「スウェーデンでは仕事場でコーヒーを飲むことが多いので、私たちはそのような環境に設置されているコーヒーマシンで作られたコーヒーにコレステロール上昇物質がどれだけ含まれているか興味を持ちました」と主任研究者のデヴィッド・イッグマン博士は述べている。

そこで今回、研究チームは、様々な仕事場の休憩室に置かれた14台のコーヒーマシンを対象に、出来上がったコーヒー中に含まれる物質について分析した。その結果、コーヒーマシンの中には、ドリップ式コーヒーメーカーの10倍以上のカフェストールとカーウェオールを含むものがあることが明らかになった。だが、マシンごとに大きなバラツキがあり、測定ごとのバラツキも大きかった。

検査したコーヒーマシンのうち、ジテルペンが最も多かったのは、最も一般的な抽出式タイプ(豆から抽出するもの)のもので11台あった。残りの3台は液体式(コーヒー濃縮液から調製するもの)でジテルペン濃度は比較的低かった。インスタントコーヒーを用いるタイプは、今回は含まれなかった。

対照として、研究者らは、パーコレーター、エスプレッソ、フレンチプレス、煮出しコーヒー、そして煮出しコーヒーを布フィルターで濾過したものを用意した。ジテルペン濃度は、平均して煮出しコーヒーが最も高く、抽出式コーヒーマシンの数倍に及んだ。エスプレッソにも極端に高濃度のジテルペンを含むものがみられた。煮出しコーヒーを布フィルターで濾過すると、ジテルペン濃度はドリップ式と同じ水準まで低下した。パーコレーターとフレンチプレスは、その中間の値だった。

「検査したコーヒーの大部分に、人々のLDL-コレステロールレベルに影響を及ぼし、将来的には動脈硬化や心血管疾患のリスクに影響を及ぼす可能性のあるレベルのジテルペンが含まれていました。毎日大量のコーヒーを飲む人にとって、ドリップ式コーヒーや、十分に濾過されたコーヒーのほうが好ましいのは明らかです。LDL-コレステロールへの正確な影響を明らかにするためには、ランダム化対照臨床試験を実施する必要があります」とデヴィッド・イッグマン博士はコメントしている。

出典は『Nutrition Metabolism and Cardiovascular Diseases

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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