公開日:2014-01-29
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長時間にわたって座りっぱなしの男性は、たとえ定期的に運動していても心不全のリスクが高まるようだ。米国保険会社大手のカイザーパーマネンテによる研究結果が『循環器:心不全』誌に発表された。
心不全とは、心臓の働きが低下して全身に充分な血液が送れなくなる病気である。米国では成人の5人にひとりが生涯に一度は心不全の診断を受けるといわれている。我が国でも、患者数が30年前に比べて2倍以上の増加を見せており、2030年には130万人を超えるとの推計もある。今回、研究チームは、心不全を防ぐために行動上の両面作戦が有効であることを発見した。すなわち、「充分な運動をすること」―プラス―「座る時間を減らすこと」のふたつである。この研究は、男性が仕事以外で1日に座っている時間の長さと心不全のリスクの関連についての初めてのものだという。 |
「もっとアクティブに! 座らない! これです」と、筆頭研究者のデボラ・ヤング博士は語っている。
研究チームは45-69歳で心不全ではない男性84,170名を対象に、1日の運動量と座っている時間の長さを調査した。それから約8年にわたる追跡調査中に3,473名が心不全を起こした。これらのデータを解析した結果、以下のようなことが明らかになったという。
●運動量の少ない男性は、充分な運動をしている男性に比べて心不全のリスクが52%高まった。座っている時間の長さを考慮してもこの傾向は変わらなかった。つまり運動量が少ない男性は、ほとんど座らない生活をしていても、充分に運動する男性よりリスクが高まるらしい。●仕事以外に、1日5時間以上を座って過ごす男性は、座っている時間が2時間以内の男性に比べて、心不全のリスクが34%高まった。男性の運動量を考慮してもこの傾向は変わらなかった。つまり、長時間にわたって座り続ける生活は、充分に運動していたとしても心不全のリスクを高めるということである。
●さらに、1日に5時間以上座ってすごし、かつ運動量も少ない男性は、極めて高い運動習慣をもち、かつ座ってすごす時間が2時間以内の男性に比べて、心不全のリスクは2倍以上に高まったという。運動と座ることのダブルパンチということらしい。 |
研究チームでは、この研究の限界として、対象がすべて男性なので女性にはおそらく当てはまらないのではないか、とみている。また運動量や座っている時間は自己申告されたものなので、多少誇張されたものである可能性があるとしている。特に座っている時間は仕事での座業が除かれているので注意が必要だ。すべての座っている時間との比較ではないのである。さらに対象者は全員が保険組合の加入者であるので、保険未加入者についても適用できないだろうとしている。
「この研究結果は、週に150分以上の中程度以上の運動をすることが心不全やその他の心臓疾患のリスクを減らすという米国心臓学会のガイドラインを支持するものです」とヤング博士はコメントしている。
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