健康食品を科学的に考察する情報サイト

サン・クロレラ 研究サイトSUNCHLORELLA LAB

健康食品を科学的に考察する情報サイト

健康素材の研究レポート 一覧

サン・クロレラ研究開発部が健康素材の試験や分析した結果を報告しています。

健康素材の研究レポート 一覧

【学術情報】

2024年11月(株)サン・クロレラ研究開発部

肥満ラットの有酸素性運動とクロレラ摂取の併用は動脈血管のNO 産生促進を 介して動脈硬化を抑制する 学術誌「Nutrients」に掲載

Nutrients に掲載

研究目的
過体重の成人や肥満患者の世界的な有病率は高く、増加傾向にあります。肥満は、更なる健康上の懸念を引き起こし、多くの慢性疾患を誘発する生活習慣病です。一般に、肥満は血管内皮障害を引き起こし、動脈硬化の増加につながります。心血管疾患の予測因子として、動脈硬化は主要な危険因子となります。
血管内皮細胞でのプロテインキナーゼb(Akt)/内皮NO合成酵素(eNOS)シグナル伝達系を介して産生される血管内皮由来拡張物質(例えば、一酸化窒素(NO))により、血管のしなやかさを保っています。肥満患者では、そのNOを利用できる能力が低下することで、動脈硬化につながると考えられています。
肥満患者が有酸素性トレーニングを行うことは、脂肪の蓄積を減少させるだけでなく、Akt/eNOSシグナル伝達系の活性によって動脈のNO産生を増加させて動脈硬化を低下させます。
クロレラは複数のアミノ酸や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの様々な栄養素を含み、動脈硬化の指標である動脈スティフネス(baPWV)を低下させ、中高年世代の血液中のNO濃度を増加させる報告もあります。さらに、最近の研究では、老齢マウスにクロレラを継続的に摂取させることで、動脈のAkt/eNOSシグナル伝達系の活性を介してNO産生が増大され、動脈硬化を改善することが示されました。
本研究では、肥満ラットで習慣的なクロレラ摂取と有酸素性トレーニングを併用することで、動脈硬化がさらに低下するかどうかを検討しました。
試験方法
6週齢の雄OLETFラットを肥満モデルとして用いて、以下に示す②~⑤の4群を設定(各群6匹)し、さらに健康な非糖尿病の同週齢の雄LETOラットを健康群として、試験を実施しました。
①健康(Healthy)群
②肥満(OBESE-SED)群
③肥満運動(OBESE-ET)群
④肥満クロレラ摂取(OBESE-CH)群
⑤肥満運動クロレラ摂取併用(OBESE-ET+CH)群
健康群と肥満群と肥満運動群は水と基本飼料を8週間摂取しました。
肥満クロレラ摂取群と肥満運動クロレラ摂取併用群は水と0.5%クロレラ粉末を添加し、基本飼
料と同じカロリーに調整した飼料を8週間摂取しました。
肥満運動群と肥満運動クロレラ摂取併用群は試験期間前に小型動物用トレッドミルで10~15m/分の速度で3日間トレーニングを行った後、平坦な傾斜で25m/分の速度で1時間のトレッドミルを週5日、8週間実施しました。
各8週間の介入後、大動脈血管を摘出し、動脈硬化の指標である頸動脈-大腿動脈間脈波伝播速度(cfPWV)を測定しました。また、動脈AktとeNOSのリン酸化はウエスタンブロット法、動脈NOx(硝酸塩/亜硝酸塩)濃度をグリース法にて測定しました。
 結   果
最初に、各指標について説明します。cfPWVが増加することは、動脈硬化度が高くなることを意味します。また、動脈AktおよびeNOSはリン酸化により活性し、NOの産生に寄与すると考えられます。さらに、動脈NOx濃度が増加することによって、動脈硬化が低下することになります。
cfPWVは、肥満群では健康群よりも有意に増加していましたが(p<0.05、図1)、肥満運動群、肥満クロレラ摂取群および肥満運動クロレラ摂取併用群では肥満群よりも有意に低下していました(p<0.05、図1)。肥満運動群と肥満クロレラ摂取群ではcfPWVに有意差は認められず、肥満運動クロレラ摂取併用群では肥満運動群および肥満クロレラ摂取群よりも有意に低下していました(p<0.05、図1)。
動脈Akt リン酸化活性は、肥満群では健康群よりも有意に低下していましたが(p<0.05、図2左)、肥満運動クロレラ摂取併用群では肥満群および肥満運動群よりも有意に増加していました(p<0.05、図2左)。
動脈eNOSリン酸化活性は、肥満群および肥満クロレラ摂取群では健康群よりも有意に低下していましたが(p<0.05、図2右)、肥満運動群および肥満運動クロレラ摂取併用群では肥満群および肥満クロレラ摂取群よりも有意に増加していました(p<0.05、図2右)。
動脈NOx 濃度は、肥満群では健康群よりも有意に低下していましたが(p<0.05、図3)、肥満運動群、肥満クロレラ摂取群、および肥満運動クロレラ摂取併用群では肥満群より有意に増加していました。動脈NOx 濃度は、肥満運動群と肥満クロレラ摂取群の間に有意差は認められず、肥満運動クロレラ摂取併用群では、肥満運動群および肥満クロレラ摂取群よりも有意に増加していました(p<0.05、図3)。
さらに、動脈NOx 濃度は動脈eNOS リン酸化活性と正の相関関係があり(P<0.05、r=0.489、図4A)、cfPWVと負の相関関係を示しました(p<0.05、r=-0.568、図4B)。
以上の結果から、肥満ラットにおける習慣的なクロレラ摂取と有酸素性運動トレーニングの併用が、Akt/eNOS シグナル伝達系の活性を介した動脈NO産生の増加により、動脈硬化をさらに低下する可能性があることが示されました。

 

 

 

 

 詳   細 

掲 載 誌:
Nutrients
タイトル:
Combined Aerobic Exercise Training and Chlorella Intake Reduces Arterial Stiffness through Enhanced Arterial Nitric Oxide Production in Obese Rats
著  者:
Henry Yamazaki, Shumpei Fujie*, Kenichiro Inoue, Masataka Uchida, Motoyuki Iemitsu
所  属:
Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University * Author to whom correspondence should be addressed.

PDF版 357KB

※この情報は、学術雑誌や学会において発表された内容の掲載であり、商品の販売促進を目的とするものではありません。

  • Google Bookmarks Google Bookmarks
  • はてなブックマーク はてなブックマーク