- 研究目的
- 肌老化の原因は内因性老化と光老化に大別されますが、シワやシミの80%は紫外線にあたることが原因と言われています。我々はすでにクロレラが光老化におけるシワの形成に関与する酵素Matrix metalloproteinase 1(MMP-1)の活性を阻害することを報告していますが、今回はクロレラ熱抽出物含有クリームにおけるシワを中心とする肌質改善効果について検討しました。
- 試験方法
- 40歳~56歳(平均49.6歳)の健康な女性12名を対象にクリーム使用前・使用中・使用後の比較試験を行いました。被験者には8週間クロレラ熱水抽出物含有クリームを1日2回(朝・晩)、基礎化粧品を使用した後、試験品を適量(約0.5g)顔全体に塗布してもらいました。塗布開始日・2週目・4週目・6週目・8週目に指定のクリニックへ来院いただき、肌質の評価と右目尻の皮膚レプリカ採取、自覚アンケート調査を行いました。
- 結 果
- (1)医師目視評価(右目尻シワグレード)
試験開始2週目より改善が認められ、試験終了の8週目においては改善率(わずかに改善、改善、おおいに改善)の合計は93%でした。
- (2)肌質測定
角質水分相対値は2週目において開始日と比べ有意な増加が見られました。肌質弾性相対値は8週目において開始日と比べ有意な増加が認められました。経皮水分蒸散量相対値に有意差はありませんでしたが、4週目以降減少傾向が見られました(図1)。
- (3)皮膚レプリカ解析
8週目のシワ最大幅の相対値において開始日と比べ有意な減少が見られました。著効改善例を図2に示します。
- (4)自覚症状アンケート
肌の状態に関する17個の評価項目でアンケートをとりました。2週目より8週目まで多くの項目で改善の自覚が見られ、8週目においては9項目で有意な改善が見られました。
以上の結果よりクロレラ熱抽出物含有クリームは塗布初期(2週目)には保湿作用を中心とする肌質改善作用を示し、それ以降はバリア機能改善作用や抗シワ作用を有することが示唆されました。
N=12,Bar:標準誤差
● :角質水分量相対値(%),▲ :肌質弾性相対値(%),■ :経皮水分蒸散量相対値(%)
& :相対値(%)={(各測定値)÷(開始日測定値)}×100(%)
※ :塗布開始日と比較し、Wilcoxson符号付順位和検定で有意差あり(p<0.05)
※※:塗布開始日と比較し、Wilcoxson符号付順位和検定で有意差あり(p<0.01)
¥ :塗布6週目と比較し、Wilcoxson符号付順位和検定で有意差あり(p<0.05)