日本人高齢者を対象にクロレラの有効性を確認した臨床試験の研究成果が、この度学術誌に掲載されましたので、ご報告いたします。
- 研究目的
- アルツハイマー病のような老年性認知症患者では、赤血球膜に過酸化リン脂質の異常な蓄積が見られます。これは赤血球が老化した状態と認識されており、老化した赤血球では脳細胞への酸素の移行が低下するため認知症の進行に関与していると推測されています。クロレラは、赤血球膜リン脂質の酸化に対して強い抗酸化作用を示すルテインを豊富に含有していることから、日本人高齢者を対象にクロレラ摂取による赤血球膜リン脂質の酸化抑制作用を調査しました。
- 試験方法
- 健康な中高齢男女12名(年齢50-68歳)を対象にクロレラ群およびプラセボ群(1群6名)の無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行いました。被験者には、クロレラ錠またはプラセボ錠のどちらかを1日40粒(朝夕20粒ずつ)、8週間摂取してもらいました。クロレラの効果を確認するため、摂取前、4週間後および8週間後に赤血球中のルテイン濃度と過酸化リン脂質濃度を測定しました。
- 結 果
- クロレラ群では、摂取8週間後において摂取前との比較から、赤血球中のルテインが約4.6倍(49.7pmol/mLから230.7pmol/mL)に増加し、赤血球中の過酸化リン脂質は、11.9pmol/mLから5.0pmol/mLへと有意な低下が認められました(P<0.05)。プラセボ群では、赤血球中のルテイン濃度および過酸化リン脂質濃度とも有意な変化は認められませんでした。また、クロレラ摂取による有害事象は認められませんでした。
以上の結果から、クロレラが赤血球膜への過酸化リン脂質の蓄積を抑制し、赤血球の老化を抑制することにより、アルツハイマー病など老年性認知症の進行を予防する可能性があることが示されました。