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【学術情報】

(株)サン・クロレラ研究開発部

エゾウコギ根抽出物による消化管運動調節作用 学術誌「Biological and Pharmaceutical Bulletin VOL.43 NO.5」に掲載

Biological and Pharmaceutical Bulletin VOL.43, NO.5, 817-822 (2020)
https://doi.org/10.1248/bpb.b19-01027 に掲載

研究目的
下痢は、ライフスタイルの変化、ストレス、薬剤の副作用などによって頻繁に発症します。エゾウコギは、抗疲労作用、神経保護作用、免疫調節作用等を有することが報告され、機能性食品として広く利用されています。しかし、これまで消化管運動能に及ぼす影響に関する報告は見当たらないことから、本研究では、マウスを用いて、摘出回腸標本の収縮反応性および消化管の炭粉輸送能に対するエゾウコギの効果について検討しました。
試験方法
正常マウスより摘出した回腸標本を用いて、エゾウコギ抽出物により生じる張力変化を測定しました。また、正常マウスおよびカルバコール(CCh)誘発下痢モデルマウスに、エゾウコギ抽出物(900mg/㎏/日)を1回または4日間経口投与して消化管の炭粉輸送能を測定しました。
 結   果
マウス摘出回腸標本において、エゾウコギ抽出物は濃度依存的に収縮を誘発し(図1)、その最大収縮力はアセチルコリン※による最大収縮のおよそ半分でした。この収縮反応は、アトロピン※前処理により完全に消失し、弛緩反応が認められました。
エゾウコギの1回経口投与は、正常マウスの炭粉輸送能には影響しませんでしたが、CCh誘発下痢モデルマウスにおける炭粉輸送能の亢進を有意に抑制し、4日間連続経口投与においても同様の効果が認められました(図2)。
以上の結果から、エゾウコギは回腸平滑筋のムスカリン受容体を介した収縮(消化管運動の増強)と筋直接弛緩という二相性の作用を持っており、腸の運動異常による便秘症状および下痢症状の両方を改善する効果が期待できると考えられます。

用語説明

*: アセチルコリン
主に副交感神経の神経伝達物質として働き、神経末端から放出されたアセチルコリンは、消化管平滑筋のムスカリン受容体に結合し消化管運動を強める。
*: アトロピン
ムスカリン受容体に結合し、アセチルコリンの作用を阻害する。

 詳   細 

掲 載 誌:
Biological and Pharmaceutical Bulletin VOL.43, NO.5, 817-822 (2020)
https://doi.org/10.1248/bpb.b19-01027
タイトル:
Acanthopanax senticosus Root Extract Exerts Dual Action on Mouse Ileal Smooth Muscle Function, Leading to Modulation of Gastrointestinal Motility
著  者:
Shino Miyauchi-Wakuda1),Satomi Kagota1),Kana Maruyama-Fumoto1),Yayoi Shiokawa1),Shizuo Yamada2),Kazumasa Shinozuka1)
所  属:
1)Department of Pharmacology Ⅱ, School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, Mukogawa Women’s University, 2)Center for Pharma-Food Research (CPFR), Graduate School of Pharmaceutical Science, University of Shizuoka

PDF版 415KB

※この情報は、学術雑誌や学会において発表された内容の掲載であり、商品の販売促進を目的とするものではありません。

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