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健康素材の研究レポート 一覧

サン・クロレラ研究開発部が健康素材の試験や分析した結果を報告しています。

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【学術情報】

2025年7月(株)サン・クロレラ研究開発部

エゾウコギによる加齢に伴う自律神経機能低下の抑制 同志社大学との共同研究の成果が学術誌「Frontiers in Cardiovascular Medicine, 2024」に掲載されました

Frontiers in Cardiovascular Medicine, 2024 に掲載

研究目的
自律神経は、生命活動を支えている大切なシステムです。心拍、呼吸、血液の循環、体温の調節、食物の消化等、これらの無意識に行われる働きは自律神経がコントロールしています。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、交感神経は心身が緊張・興奮する際に優位に働き、副交感神経は心身がリラックスする際に優位に働きます。例えば、交感神経は血管を収縮し、副交感神経は血管を拡張します。この交感神経と副交感神経がブレーキとアクセルとしてバランスよく機能することが恒常性を保ち、心身の健康を維持するために重要です。
自律神経の働きを乱す原因としては、ストレスや運動不足等がありますが、加齢によっても自律神経の働き、特に副交感神経機能が大きく低下してしまうことが知られており、それが老化を促進させる原因の一つになっていると考えられています。
寝ている状態や座っている姿勢から立ち上がった時に、重力の影響により下肢に血液が移動しますが、からだは速やかに血圧を保つように働きかけます。しかし、自律神経活動が低下している場合、起立時の循環動態の変化に対して、交感神経がうまく働かないために血圧を元の状態に戻すことができず立ちくらみやめまいを起こすことになります。多くの研究によって、自律神経活動は加齢とともに低下することが明らかにされています。加齢による動脈硬化の進行と相まって、高齢者において、立ちくらみやめまいは約20%に見受けられます。また、高齢者の転倒や骨折は、立ちくらみやめまいにより起こることがあるとの報告もあります。
本試験では、睡眠改善作用、抗疲労作用、さらに不安やストレスを受ける状況で自律神経活動を安定化(交感神経と副交感神経のバランスを保つ)する作用が報告されているエゾウコギについて、高齢者の安静時および起立反射時の心臓自律神経活動に及ぼす影響を検討しました。
試験方法
65~90歳の高齢者28名(男性8名、女性20名;平均年齢72.5±4.5歳)をランダムに14名ずつ2つのグループに分け、エゾウコギ錠もしくはプラセボ錠を4週間、朝食・夕食時に各12粒ずつ計24粒を摂取してもらいました。摂取期間の前後において、心臓自律神経活動の測定を行いました。自律神経活動の測定は、座位安静時および起立反射時の心拍変動を解析ソフト「きりつ名人」(クロスウェル製)を用いて解析を行いました(図1)。
 結   果
エゾウコギ摂取前と摂取後の比較において、安静時の測定では、エゾウコギ摂取群で自律神経活動全体の働きを示すCVRRおよび心臓副交感神経活動を反映するHFが有意に増加することが示されました(図2)。また、起立反射時の測定では、エゾウコギ摂取群において交感神経活動の亢進度を示す⊿LF/HFが有意に増加することが認められました(図3)。
自律神経機能は加齢に伴い低下し、特に副交感神経活動の低下が顕著であることが報告されています。副交感神経活動の低下は、心疾患等の疾患や死亡リスクと関連することが明らかになっています。
本試験では、安静時の測定から、エゾウコギの摂取により自律神経活動全体の働きを示すCVRR と心臓副交感神経活動を反映するHF の有意な改善が認められました。また、起立反射時の測定において、エゾウコギは交感神経活動の亢進度を示す⊿LH/HF を有意に改善することが示されました。
本試験の結果から、加齢により低下する自律神経機能に対して、エゾウコギは自律神経機能の低下、特に副交感神経機能の低下を抑制することが確認されました。一方で、エゾウコギは高齢者における起立時の交感神経活動を亢進させ、起立時の立ちくらみやめまい、転倒を予防する可能性が示されました。

 詳   細 

掲 載 誌:
Frontiers in Cardiovascular Medicine, 2024
タイトル:
Effects of continuous supplementation of Acanthopanax senticosus Harms on the cardiac autonomic function of community‐dwelling elderly individuals during resting and standing tests: a randomized controlled trial
著  者:
Takeru Sato1), Takumi Aoki2), Yuki Ito3), Kan Oishi1), Masaki Fujishima4), Eri Okumura4), Kojiro Ishii5)
所  属:
1) Graduate School of Health and Sports Science, Doshisha University, 2) Faculty of Education, Miyagi Gakuin Women’s University, 3) College of Life and health Sciences, Chubu University, 4) Sun Chlorella Corp., 5) Faculty of Health and Sports Science, Doshisha University

PDF版 379KB

※この情報は、学術雑誌や学会において発表された内容の掲載であり、商品の販売促進を目的とするものではありません。

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