健康食品を科学的に考察する情報サイト

サン・クロレラ 研究サイトSUNCHLORELLA LAB

健康食品を科学的に考察する情報サイト

健康素材の研究レポート 一覧

サン・クロレラ研究開発部が健康素材の試験や分析した結果を報告しています。

健康素材の研究レポート 一覧

【学術情報】

2024年9月(株)サン・クロレラ研究開発部

エゾウコギによるがん関連疲労の改善に対する実行可能性評価試験 学術誌「Palliative Medicine Reports, Vol.5」に掲載

Palliative Medicine Reports, Vol.5 (2024)
DOI: https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/pmr.2024.0041 に掲載

研究目的
日本においてがんは2人に1人は一生に1度は罹患する国民病です。がんが進行した患者さんでは、疲労や倦怠感といった症状(がん関連疲労または倦怠感)が高頻度に認められます。さらにがん関連疲労を有するがん患者さんでは、睡眠障害や抑うつといった多岐にわたる自覚症状も呈することから、これらの症状が生活の質(Quality of Life)の低下にも直結することが知られています。特にがんの終末期においてはがん性疼痛なども併発するため、これら症状に対する薬物などによる緩和療法の充実は、超高齢化を迎えがん患者罹患数のさらなる増加が予想される本邦では喫緊の課題となっています。このがん関連疲労(倦怠感)に対しては,さまざまな投薬治療によって一定の効果が認められているものの、副作用等により定まった治療方針が世界的に確立されておりません。
エゾウコギは、中国の約2000年前の本草書「神農本草経」にも収載されている生薬ですが、機能性食品としても世界で広く利用されています。近年の研究から、エゾウコギには日常的に疲労を感じている健常者において抗疲労作用を示すことが報告されています。そこで本研究では、疲労感を訴える進行がん患者さんに試験に参加していただき、エゾウコギ含有飲料摂取によるがん関連疲労に対する安全性と改善効果を検証するための前段階として実行可能性評価試験を行いました。
試験方法
がん関連疲労を有する15名の進行がん患者さん(52-87歳、女性9名・男性6名)に、エゾウコギ含有飲料(㈱サン・クロレラ、京都)30mLを1日2回、28日間摂取してもらいました。試験完遂率を主な評価項目とし、副次的な評価として質問票により疲労感をスコア化するBFI(Brief Fatigue Inventory:簡易倦怠感尺度、軽度1-3、中等度4-6、重度7-10)、酸化ストレス度、有害事象等について評価しました。
 結   果
摂取終了後のBFI 検査まで終了して試験完遂できたのは15名中7名でした(46.7 %)。この7名のうち5名でBFIスコアの低下が認められました。摂取開始前にBFIスコア5.5以下であった患者さん4名全員でBFIスコアが低下し、摂取開始前BFIスコア5.5以上の患者さん3名のうち1名でスコアの低下が認められました。7名のスコア平均値で見ても、摂取によりBFIスコアが5.3から3.9に低下していました(中央値の比較、図1)。また、有意差は認められませんでしたが、摂取終了後に血漿抗酸化力値が上昇する傾向が認められました(図1) 。試験に参加した15名のうち9名の患者さんが28日間のエゾウコギ含有飲料の摂取を完了しましたが、エゾウコギ含有飲料に起因する有害事象は認められず、摂取を完遂できなかった患者さん6名はがんの病状の進行等によるものが原因でした。
以上の結果から、エゾウコギ含有飲料は進行がん患者さんにおいても安全に摂取できる食品であり、BFIスコア5.5以下の中等度以下のがん関連疲労を有するがん患者さんでは、疲労感の改善に有用である可能性が示されました。今後、多くの進行がん患者さんが参加する臨床研究によって、エゾウコギががん関連疲労の改善に真に有効であるかについて広範に検証されることが期待されます。

 詳   細 

掲 載 誌:
Palliative Medicine Reports, Vol.5 (2024)
DOI: https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/pmr.2024.0041
タイトル:
Feasibility and Safety of Food Containing Acanthopanax senticosus for Treating Patients with Cancer‐related Fatigue
著  者:
Yutaka Kawano1,2), Nanae Watanabe3), Masahiko Nishiyama3,4), Tousei Ohmura3), Hiroyoshi Mihara3), Kaoru Ono3), Maki Tanaka5), Yasushi Sato2), Tetsu Tomonari2), Hidekatsu Takeda6), Tetsuji Takayama2)
所  属:
1) Department of Community Medicine and Medical Science, Tokushima University Graduate School of Biomedical Sciences 2) Department of Gastroenterology and Oncology, Tokushima University Graduate School of Biomedical Sciences 3) Higashi Sapporo Hospital 4) Department of Molecular Pharmacology and Oncology, Gunma University Graduate School of Medicine 5) Department of Clinical Laboratory Science, School of Medical Technology, Health Science University of Hokkaido 6) Department of Physical Therapy, Sapporo Medical University School of Medicine

PDF版 312KB

※この情報は、学術雑誌や学会において発表された内容の掲載であり、商品の販売促進を目的とするものではありません。

  • Google Bookmarks Google Bookmarks
  • はてなブックマーク はてなブックマーク