公開日:2016-10-31
世界の最新健康・栄養ニュース
毎日最低10分間の全力(高強度)運動をする小学生は、お腹の脂肪が少なく、心肺機能が高い傾向にあることが明らかになった。東部フィンランド大学の研究チームが発表した。
研究チームによれば、運動強度は低くても有効だったが、高い者ほど腹部脂肪は少なかったという。ただ、心肺機能を高めるには、最低でも中強度以上の運動が必要だった。
中強度運動とは、校庭を走りまわったり自転車に乗ったりして、心拍数と呼吸が軽く高まり身体が温まる程度の運動のこと。高強度運動とは、全速で走ったり泳いだり、心臓が早鐘のように打ち、息も荒くなるような激しい運動をさしている。
今回の研究結果は、英国ケンブリッジ大学との共同研究であるPANIC(小児の運動と栄養)研究からのものである。研究チームは6-8歳のフィンランド人410名(男子202名、女子208名)を対象に、運動量と座っている時間が、子供の体脂肪と心肺機能に及ぼす影響を調査した。 |
運動量と座位時間は、心拍数計と身体活動量計を合わせたアクティハートという機器を用いて測定した。体脂肪と腹部脂肪の量は、DXAと呼ばれるX線を用いた機械で、また心肺機能については自転車エルゴメーターを用いた最大運動能力の検査によって測定した。データは、種々の交絡因子(食事の質や睡眠時間の長さなど)を考慮して調整・解析された。
子供たちは全体的にあまり運動をしていなかった。1日に高強度の運動を行う時間は、男子で平均8.6分、女子では1.9分に過ぎなかった。座っている時間は長く、男女とも平均6時間あった。
解析の結果、子供がより多くの時間を身体活動に使うほど、お腹の脂肪が減少していくことを研究チームは発見した。運動の強度と時間が、体脂肪の量と相関していた。10分以上の高強度運動を毎日する子供は、高強度運動を全くしない子供に比べて、腹部脂肪が3割少なかった。軽度の運動にもそれなりの効果が見られた。しかし、心肺機能を向上させるためには、最低でも中強度以上の運動を毎日していることが必要だった。 研究ではまた、10分間座っている代わりに、高強度運動をすれば、お腹の脂肪が13%減ることや、高強度運動でなくても、軽めの運動や中強度運動でも脂肪を減らす効果のあることを発見した。ただ、高強度運動がもっとも効果的で、それ以下の運動では十分とはいえなかったという。10分間の座位時間を中程度から高強度の運動に置き換えることで、心肺機能も高まった。 |
今回の研究結果は、身体を動かす生活習慣にそれほど大きな変更を加えなくても、子供たちの体重管理や心肺機能を向上させる明らかな効果があることを示唆している。座っている時間をなるべく減らして、少しでも運動すること、そしてできるならいくぶん活発な運動もすることが、子供たちの肥満を予防し体力を向上させる重要な方法であろう、と研究チームは結論している。
© SUN CHLORELLA CORP.