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公開日:2016-09-20

食物繊維の豊富な食事で健康に歳をとる

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食物繊維の豊富な食事は日々の健康を維持する助けになるだけでなく、健康長寿の秘訣でもあるようだ。穀類や野菜、果物などから充分な食物繊維を摂取する人は、歳をとっても病気や障害の少ない人生を送れることが、豪州ウエストミード医学研究所の研究で明らかになった。

p_121 食物繊維とは、炭水化物の一種で人間には消化できない構造をもつものをいう。植物性食品に多く含まれ、水溶性、不溶性などさまざまな種類が知られている。食物繊維は消化されないので、昔は栄養成分とは思われていなかったが、身体に良い腸内細菌を増やすといった種々の健康効果が明らかになり、現在では重要な栄養成分のひとつと考えられている。

今回、研究チームは、50歳以上の中高年齢者1,600名以上を対象に、炭水化物の摂取状況(炭水化物摂取量、食物繊維摂取量、グリセミック・インデックス*、グリセミック・ロード*、砂糖摂取量など)を調査し、その後10年間にわたる健康状態との関係を検討した。その結果、食物繊維の摂取がいわゆる“サクセスフル・エイジング(成功した加齢)”の実現に最も重要であることを発見したという。

サクセスフル・エイジング”とは、身体障害、抑うつ症状、認知機能障害、呼吸器症状がなく、がんや冠動脈疾患、脳卒中などの慢性疾患もない状態で、健康に歳を取ることと定義されている。

筆頭研究者のバミーニ・ゴピナス博士によれば、本研究は、炭水化物の摂取と健康的な加齢の関係を調べた世界初の研究であり、きわめて期待のもてる結果であるという。

「食物繊維というのは、私たちの身体が消化できないタイプの炭水化物ですが、炭水化物に関連した指標の中で、最も強い影響力をもっていました」とゴピナス博士は語っている。「食物繊維の摂取量が最も多かった人々は、最も少なかった人々に比べて、10年間の調査においてずっと健康である確率が80%も高かったのです。これはつまり、高血圧、糖尿病、認知症、うつ病、機能障害などになりにくいということを意味します。」

当初の見込みでは、砂糖の摂取量のほうがサクセスフル・エイジングに与える(負の)影響が大きいだろうと考えられていた。けれども、実際には50歳以上の人々は、炭酸飲料や加糖飲料をほとんど飲まないので、実質的な影響がでなかったようだ、とゴピナス博士は語っている。

ただし博士は、本研究から食事アドバイスを引き出すのは時期尚早であるとも述べている。「本研究は今後の研究の新たな出発点になるものです。多くの他の疫学研究によって同じような関係が明らかにされるでしょう。そしてその背後に潜む作用機序の解明も興味深いテーマです。」

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本研究は、健康的な加齢に食事が重要であるとする、ゴピナス博士らの最近の一連の研究結果に連なり、それを補強するものである。昨年の研究で、研究チームは、国の食生活指針に合致した食事を摂る人々が生活習慣病や身体機能障害、認知機能障害を起こさずに高齢に達する可能性が高いことを報告している。

* グリセミック・インデックス(GI):炭水化物摂取後の血糖値の上昇を表わす食品固有の値、グリセミック・ロード(GL):GIに炭水化物量を乗じた値。

出典は『老年医学雑誌シリーズA』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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