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公開日:2021-05-25

食物繊維、カルシウム、ヨーグルトが大腸がんのリスクを下げる

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食物繊維、カルシウム、ヨーグルトの摂取には、大腸がんのリスクを下げる効果があるが、赤肉とアルコールの摂取は、逆に大腸がんのリスクを高めるようだ、という米国ユタ大学などによるアンブレラレビューの結果が発表された。

食事が、大腸がんの発症に影響を及ぼすという研究は、これまでに数多く報告されているが、その確からしさについては、かならずしもはっきりしていなかった。

今回研究チームは、食事と大腸がんの発症に関する数多くの前向きコホート研究に焦点をあて、それらのメタ分析についてのアンブレラレビューを実施した。

前向きコホート研究というのは、特定の集団を数年から数十年にわたって追跡調査し、大腸がんになった人とならなかった人が、元来どのような食生活をしていたかを比較したものである。

こうした疫学研究の確からしさを調べる方法として、メタ分析というものが知られている。これは、過去に発表されたすべての研究(時に未発表データを含む)を網羅的に集めて、その結果を各々ひとつの測定値とみなし、そこから全研究結果の、いわば平均値のようなものを導き出す研究方法である。

研究の中には、たとえばある食品が大腸がんのリスクを10%高めるとか、逆に30%下げるというように相反する結果を報告するものも多い。メタ分析はこれらを並べて平均をとる(といってもその実際の方法は簡単ではない)ことで、真の値を得るのである。

しかし、メタ分析ならばいつも信頼性が高いというわけにはいかない。方法が悪かったり、元になるオリジナルの研究の質が低かったりすれば、説得力のある科学的根拠とはなりえない。

アンブレラレビューは、既に数多く発表されているメタ分析だけを対象に、さらに包括的な観点から、より確からしいものを選び出す研究方法である。多くの研究を集めたメタ分析の結果をさらに集めて吟味するのだから、理論的には、結果の信頼性はさらに向上することになる。

研究チームは、米国国立医学図書館のメドラインデータベースや、英国のコクランライブラリーなどを用いて、2019年9月までの先行研究を検索した結果、大腸がんと食品、食品群、飲料(アルコール類を含む)、三大栄養素、微量栄養素、食事パターン(地中海型食事やDASH食など)の関係について調べた45件のメタ分析を発見した。これらの分析の中では、109項目にわたる個々の食事因子と大腸がんとの関係が解析されていた。

それら109項目の食事因子を検討した結果、研究チームは、食物繊維、カルシウム、ヨーグルトの3つについて、より多くの摂取が大腸がんの発症リスクを低下させる、という強い説得力のある根拠が存在することを発見した。また、赤肉(牛肉、豚肉など哺乳類の肉)とアルコールの摂取が大腸がんの発症リスクを高める、ということについても、同様に説得力のある根拠を発見したという。

「今回の包括的なレビューにおいて、食物繊維、カルシウム、ヨーグルトの摂取量の増加が大腸がんリスクを下げること、およびアルコールと赤身の肉の摂取量の増加が大腸がんリスクを高めることについて、説得力のある科学的根拠が存在することが明らかになった」と研究チームは述べている。

「けれども、多くの研究でその影響が指摘されているその他の食品、特に乳製品、全粒穀物、加工肉、特定の食事パターン(例えば、地中海型食事)などについては、十分に説得力のある根拠はみつからず、さらなる研究が必要と考えられた。」

出典は『JAMAネットワークオープン

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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