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公開日:2021-10-26

食事が新型コロナの感染リスクと重症度に影響する?

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野菜や果物、豆類、全粒穀物を豊富に摂取している人は、甘い飲み物や菓子類、動物性食品を多く摂る人に比べて新型コロナウイルスの感染・重症化リスクともに低いことがわかったという。

肥満や2型糖尿病は、新型コロナの感染リスクを高め、また病気が重症化する原因にもなるといわれているが、そうしたリスクに対する食事の影響はまだよくわかっていない。

米国マサチューセッツ総合病院の研究チームは、健康的な植物性食品中心の食生活に、新型コロナに感染するリスクを下げ、病気の重症化を防ぐ働きがあるかもしれないことを発見した、と『消化管』誌に発表した。

新型コロナのリスクにおける食生活の有効性は、特に生活が困難な貧困地域に居住する人々で高かったという。

「これまでの報告で、貧しい栄養状態が、新型コロナのパンデミックにおいて特に大きな打撃を受けた人々に一般的に見られる特徴であることは指摘されてきましたが、食事と新型コロナの感染リスクや重症化の関係についてのデータがありませんでした」と筆頭著者のジョルディ・メリノ博士は語っている。

今回の研究において、メリノ博士ら研究チームは、2020年3月24日から2020年12月2日にかけて、スマートフォンを利用した「新型コロナウイルス症状研究」に参加した英国と米国在住の592,771名のデータを解析した。研究開始時に、参加者は、パンデミックが始まる前の食習慣について食事調査票に回答した。そして、「健康的な植物性食品中心食生活スコア」という野菜や果物などの健康的な植物性食品の摂取量を評価した。

研究期間中に、31,831名の参加者が新型コロナウイルスに感染したことがわかった。食事データとの関連を解析したところ、コロナ前に健康的な植物性食品を最も食べていなかった人に比べて、最も多く食べていた人は、新型コロナに感染するリスクが9%低く、重症化のリスクが41%低かったことが明らかになった。

「これらの知見は、食事以外の健康的な行動や社会経済状態、居住地のウイルス感染状況などを考慮しても一貫していました」とメリノ博士は語っている。

「私たちの研究では、ワクチン接種や人込みの中でのマスク着用の重要性を充分に明らかにすることはできませんでしたが、食事の内容に注意を払うことで新型コロナに感染したり重症化したりするリスクを下げられる可能性を示唆しています」と共同主任研究者のアンドリュー・チャン医師は語っている。

研究チームはまた、不健康な食生活と貧困が相乗的に新型コロナの感染リスクを高めることを発見したという。それは単に両者を足し合わせた以上の影響をもたらした。

「私たちの推定では、新型コロナウイルスに感染した人の3分の1近くは、不健康な食生活か貧困のどちらかがなければ感染せずにすんだと思われます」とメリノ博士は語っている。

今回の結果はまた、健康的な食品へのアクセスを高める公衆衛生戦略が、パンデミックを終息させる助けにもなることも示唆している。

「私たちの発見は、政府や利害関係者に健康な食生活の重要性を再認識させるものです」とメリノ博士はコメントしている。

出典は『消化管

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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