公開日:2022-10-03
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非栄養性甘味料は、決して不活性なものではなく、ヒトの腸内細菌に作用して血糖値にまで影響を及ぼしているようだ、という驚きの研究結果が発表された。
非栄養性甘味料は18世紀の終わりからカロリーのない砂糖として使われてきた。長い間、ヒトの身体には何の影響もないと考えられてきたが、『細胞』誌に発表された研究はそれに意義を申し立てるものである。
イスラエルのワイツマン科学研究所と独国立がん研究センターの研究チームは、2014年に非栄養性甘味料がマウスの腸内細菌に作用して血糖値を変化させることを発見したことから、それが人間にもあてはまるかどうか興味をもったという。 |
研究チームは、1,300人以上をスクリーニングして、非栄養性甘味料を厳密に避けている120人の対象者を選び出した。彼らは6群に分けられ、うち4群は異なる種類の非栄養性甘味料(アスパルテーム、サッカリン、ステビア、スクラロース)を、残りの2群は対照群(砂糖摂取群と何も摂取しない対照群)を摂取した。
その結果、「非栄養性甘味料を摂取した人々において、私たちはそれらが、きわめて独特の影響を、彼らの腸内細菌叢の組成と機能、そして末梢血管中に分泌される分子にもたらすことを発見しました。つまりこれは、人の体内で腸内細菌が非栄養性甘味料に影響を受けたことを意味します」と主任研究者のエラン・エリナヴ博士は語っている。「サッカリンとスクラロースを摂取した人の中には、はっきりと耐糖能異常が現れた人もいたのです。とりわけ興味深いのは、この血糖値の変化に密接に関連して腸内細菌叢が変化していたことです。」
この腸内細菌と血糖値の因果関係をはっきりさせるために、研究チームは、変化がみられた人の腸内細菌叢を、無菌マウス(腸内細菌など一切の微生物を体内にもたず飼育されている)に移植した。
「その結果はまったく顕著なものでした」とエリナヴ博士は言う。「血糖値への影響が最も大きかった時点で採取した腸内細菌を移植した結果、それを移植されたマウスにも極めて顕著に耐糖能異常が発現したのです。血糖値への影響がほとんど見られなかった人からの腸内細菌は、マウスにほとんど影響を及ぼしませんでした。」 「この結果は、人が非栄養性甘味料を摂取した結果として起こった腸内細菌の変化が、血糖値にも影響を及ぼすのであり、それにはきわめて大きな個人差が存在するということを意味しています」と博士は付け加えた。 エリナヴ博士は、人によって甘味料に対する反応が大きく異なっていた原因について、人の腸内細菌叢の組成にはもともと極めて大きな個人差が存在しているからだと推察している。「私たちは、非栄養性甘味料が人の身体に対して不活性ではないという事実にしっかり目を向ける必要があります。その変化が及ぼす臨床上の意味合いについては、私たちはまだなにもわかっていません。そのためには将来の長期にわたる研究の結果を待つ必要があります。」 |
「それはともかく、砂糖は、それでも明らかに私たちの代謝の健康にとって最も有害な物質ではありますから、とりあえず虫歯予防のための代わりの解決法を模索しなければならないでしょう。個人的には、真水だけが、ベストの解決法のようにみえます」とエリナヴ博士はコメントしている。
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