公開日:2017-07-27
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全粒穀物や大豆など、植物性たんぱく質が豊富な食事を摂りつづけることで、女性の早発閉経を防ぎ、より長い期間生殖機能を維持できることが、米国マサチューセッツ大学とハーバード大学の疫学研究チームによる研究で明らかになった。
栄養を強化されたパスタ、黒パン、シリアルの摂取が特に有効であったという。動物性たんぱく質にはまったく効果がみられなかった。
「植物性たんぱく質の摂取が卵巣機能に与える影響をより良く理解することで、女性が早発閉経やそれに関連した疾患のリスクを減らすための方法を明らかにできると考えました」と筆頭研究者で大学院生のメガン・ブトーは述べている。彼女は、指導教官のエリザベス・ベルトーネ=ジョンソン教授と共に本研究を実施した。 |
早発閉経とは、45歳未満(日本では43歳未満)で卵巣機能が停止することをいい、全女性の5-10%にみられる。早発閉経は、心血管疾患、骨粗鬆症、早期認知機能低下のリスクを高めることも知られているという。たんぱく質の摂取と閉経の時期に関する研究はこれまでほとんどなかった。本研究は、特に早発閉経との関連を指摘した世界初の研究であるという。
食事と早発閉経のリスクの関係を調べるために、研究チームは、米国の長期大規模疫学研究である、看護師研究IIの開始時(1989年)に25-42歳だった女性116,000人のデータを分析した。20年に及ぶ追跡期間中に、2,041名の女性が早発閉経を経験した。
参加者は、食事について、調査時点の直近1年間における131種類の食品・飲料・サプリメントの摂取頻度を「まったくないか月1回以下」から「1日6回以上」までの選択肢から回答した。調査は4年ごとに実施された。
データ解析の結果、長期にわたって1日の総カロリー摂取の約6.5%を植物性たんぱく質から得ていた女性は、4%以下だった女性に比べて、早発閉経のリスクが16%低かったことが明らかになった。解析は、年齢、喫煙の有無、肥満度(BMI)、その他あり得る交絡因子の影響がなくなるように調整して行われた。
著者らの説明によれば、約6.5%のたんぱく質とは1日2,000kcalを摂取する女性の場合、栄養強化パスタ、朝食シリアル、豆腐、ナッツを全部で3-4皿分食べることに相当するという。たんぱく質の量でいえば32.5gである。 「本研究の参加女性の中で、非常に大量の植物性たんぱく質を摂取する女性は比較的少数だったので、統計的な限界はありましたが、植物性たんぱく質の9%以上の摂取者は、4%以下の摂取者に比べて、早発閉経のリスクが59%低いという結果も得られました」と研究チームは述べている。 |
看護師研究IIでは、参加者の生活習慣や健康状態について2年ごとに追跡調査している。90%近い参加者が追跡調査を継続している。食事調査は、20年間に5回実施されており、時の移り変わりによる食生活と栄養状態の変化について検討することが可能だという。
研究チームでは、今回の研究はもっと多くのデータで検証される必要があり、特に、大豆たんぱく質の多い食事と、非大豆たんぱく質の多い食事を比較すべきであろうとしている。
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