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公開日:2009-09-16

運動と健康

世界の最新健康・栄養ニュース

健康を維持する上での欠かせない要素として『栄養』と『休養』、それから『運動』が挙げられます。適度な運動が健康に良いというイメージは定着している一方で、「健康日本21」の2007年の中間報告では定期的に運動を行っている人の割合は男性30.9%、女性25.8%となかなか国民に浸透していないのが現状です。
頭では良さがわかっていても、実践している人の意外と少ない『運動』を切り口に、改めて健康との関係について考えてみましょう。

なぜ運動が必要か?

1 エネルギーバランスを保つ

ヒトはこれまでの歴史の中で、たえず身体を動かしながら食料を確保し、命の営みを続けてきました。ですが、いつも食料が充分といういうわけではありませんので、基本的にエネルギーの収支がマイナス、つまり足りなくなった場合を想定して私達の身体はつくられています。

ところがここへ来て身体を動かす機会は失われ、逆に食料は溢れかえるという、想定外の状況にさらされているのです。そのために皆様も良くご存知の通り、メタボリックシンドロームのような脂肪の蓄積がベースにある疾病が増えており、国もこれに歯止めをかけるべく啓蒙に力を注いでいます。

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ここで対策としてまず思い浮かぶのは食事の見直しでしょう。「摂取カロリーを減らそう」と。当然それも必要なことですが、適切な管理がされないまま量だけを減らすと、エネルギーやアミノ酸不足に陥り、それを補うために筋肉が分解されてしまいます。そしてますますエネルギーが消費されにくい身体になってしまうのです。

大切なのは、適切な栄養バランスのもとカロリー管理を行い、同時にカロリーを消費する『筋肉』を増やしてあげること。どんな年齢からでも筋肉量を増やすことは可能です。日頃運動習慣がない方は身体を鍛え、暇を持て余している筋細胞を刺激してあげましょう。

 

2 筋肉量の低下を防ぐ

個々人が適正な量の筋肉をつけることは、高齢者の多い日本にとっては非常に大切な問題です。ヒトは対策を講じない場合、加齢とともに筋肉は自然に減少し、その影響は下肢に顕著に現れます。そのため高齢者の転倒やそれに伴う骨折のリスクは高く、65歳以上での要介護となった原因の第3位が『転倒』となっています*1。

介護で家族に迷惑をかけたくない、人様のお世話にはなりたくないと望む方が多い一方で、現在支援や介護のサービスを受けている方は全国で約460万人にのぼっており*2、これから高齢人口がますます増加するなか、その対策は急務です。だれもがいつかは迎える終末に向けて、今から運動を習慣化し、少しでもリスクを減らしませんか?

 

3 疾病リスクの低減

適度な運動が免疫力を高め、感染症やがんの予防に役立つということは経験的に言われていることですが、がんとの関連を示す報告のひとつに2003年にWHOによりまとめられたレポートがあります(表1)。「確実」にリスク低減すると位置づけられている項目に結腸がん、「可能性大」には乳がんがあります。

また肥満や過体重となることで「確実」にリスクを高めるがんとして、食道がん、結腸がん、直腸がん、乳がん(閉経後)、子宮体部がん、腎臓がんがあります。運動で肥満が予防できることを併せると、がんだけをとってみても運動には大きな効果があることが判ります。また、がん以外にも肥満は様々な生活習慣病のリスクを高め、とりわけ日本人においては比較的低いBMIであっても欧米人と比べリスクが高く、肥満に弱い性質をもっています。

そのため「肥満」とされるBMIはWHOでは30と定めていますが、日本肥満学会では日本人の肥満を25としているのです。肥満防止はもとより、継続的な運動により得られるメリットを積極的に享受しておきましょう。

表1 生活習慣とがんの関連

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2007年度の国民医療費は過去最高の34兆円となり、2008年度も2%の増加が見込まれています。現在と変わらない生活を日本人が送っていては医療費は際限なく膨らんでしまいます。健康への時間と費用の投資は個人の問題ではありますが、これからは環境問題と同様、社会的責任も伴ってくるのではないでしょうか?好んで病にかかる人はいません。そのためにも今できることから始めましょう。

*1 平成13年国民生活基礎調査より
*2 平成21年2月介護保険事業状況報告

 

サン・クロレラ 研究開発部