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公開日:2015-05-26

軽めの運動が、がん治療をより効果的にする

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米国カンザス州立大学の研究チームの新たな研究が、がん患者を勇気づけるかもしれない。早歩きかスロージョギングを定期的に行うことが、がんの治療効果を高める鍵になるだろう、というのである。

 1432606798 ブラッド・ベンケ准教授らの研究チームは既に、定期的に適度な運動をすることでがん細胞の酸素化が促進されることを報告していたが、この効果は放射線がん治療の効果を高めることが知られている。今回研究チームは、米国がん協会から75万ドルの研究資金を得て、適度な運動が、がん(特に難治性)の放射線治療をより効果的なものにする研究に取り組むことになった。

「放射線治療の有効性が高まれば、患者の予後はより良いものになります」とベンケは語っている。「運動のような介入は他の方法に比べると副作用も少なく、多くの有益な効果を身体に及ぼします。がん細胞の内部環境を恒久的に変える働きも期待できるでしょう。」

米国NIHに属する国立がん研究所では、がん患者とがん生存者に運動を推奨している。けれども、運動によってがん細胞に何が起きるかはほとんど研究されていなかった。ベンケは、彼の専門性を生かして、このことを明らかにしようとしている。ベンケらはまた、ジョスリンがん研究センターからも研究助成を受けている。

「私は、がん腫瘍細胞の周囲で、運動中および運動後に、治療効果の促進効果が見られるかどうかに興味を抱いたのです」とベンケは語っている。

最近の研究で、ベンケらは前立腺がん細胞のモデル系を用いて、がん細胞への酸素の供給を高める方法を発見した。がん細胞への酸素供給が不足するとがんはさらに悪化する、とベンケは言う。なぜなら酸素は一種の放射線増感剤として作用するからだ。酸素はがん細胞を破壊する効果を高める。つまり、低酸素状態にあるがん細胞は、しばしば放射線がん治療に抵抗性を示すのだが、濃縮酸素の供給のような介入によって酸素濃度を高めることが放射線治療の有効性を高められるのである。

「身体の中の全ての仕組みを自由に操作できるなら、そう、肺や心臓、血管などを、たとえば運動によって変えられるなら、がん細胞の中で機能不全に陥っている血管にも影響を及ぼして、もっと多くの血液をがん細胞に送り込めるでしょう」とベンケは語っている。「がん細胞は運動によって増大した血流によって、実質的に酸素化が進むことになるでしょう。」

しかし、ここで鍵になるのは適度な運動ということだ、とベンケは言う。「運動量が少な過ぎればもちろん効果はないでしょう。でも多過ぎてもネガティブの効果が現れます。がん細胞への血流がシャットダウンされ、免疫系の不具合も起こってきます。」

適度な運動とは、その人の心肺能力の30-60%を使ってする運動のことだ、とベンケは説明している。あまり体力を消耗することがないので、大抵の人が実行可能である。たとえばブリスクウォーク(きびきび歩き)やスロージョギングがこれにあたる。

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研究ではまた、適度な運動ががん患者の治療によって起こる、血液細胞数の減少、疲労、悪液質、筋肉損失などの副作用を和らげる働きにも注目している。すでに多くの研究者がこれに注目しており、「有酸素運動療法」という言葉もあるほどである、とベンケは語っている。

「中程度の強度の運動には実質的にネガティブな副作用はないと言ってよいでしょう」とベンケは言う。「運動はしばしばがんの症状を和らげ、がん治療の副作用を改善するために用いられますが、腫瘍細胞の酸素化過程を通じ、運動を行うことそれ自体ががん治療にも有効に機能するといえるのです。」