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公開日:2015-02-16

質の高い食事と栄養成分は精神の健康保持に必須

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食事の質を保ち、栄養素の欠乏を防ぐことは、精神を健康に保つうえで本質的である、という豪州メルボルン大学が主導する国際共同研究チームによる報告が『ランセット精神医学』誌の最近号に掲載された。著者らは、今こそ食事と栄養が精神衛生上のカギとなる要因であることをしっかり認識すべきだと主張している。

筆頭著者で国際栄養精神医学研究学会(ISNPR)の一員でもあるジェローム・サリス博士は、精神医学は危機的な状況にあり、現在主流の医学方法論では世界的な精神疾患の増加を抑えることはできないだろうと述べている。

「精神を健康に保つための各要素の働きは複雑です。栄養は、そのカギとなる因子として最近注目を集めています。栄養は、循環器系や消化器系だけでなく精神神経系においても極めて重要なものなのです」とサリス博士は述べている。「この数年間だけでも、栄養のクオリティと精神衛生の顕著な関連を示すいくつもの発見がありました。科学的な信頼性の高い研究によって精神衛生における栄養の役割に対する理解が深められてきています。」

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今回の報告で、博士ら研究チームは食事の改善に加えて、いわゆる「栄養素処方箋」が個人または集団レベルで精神疾患を管理する有力な補助手段になるという最新のエビデンスについて触れている。そのような、脳の健康維持に明らかに関連している栄養素はたくさんある。オメガ-3系脂肪酸、ビタミンB類(特に葉酸とB12)、コリン、鉄、亜鉛、マグネシウム、S-アデノシルメチオニン、ビタミンD、そしてアミノ酸などがその代表的なものだ。

「これらの栄養成分は、通常の食事でも摂ることが可能ですが、ニュートラシューティカル(栄養サプリメント)のような形で特定の栄養素処方箋を追加しても良いでしょう」とサリス博士は述べている。

1424057168 また、共同研究者のフェリス・ジャッカ准教授は、多くの研究で健康的な食生活パターンが憂うつ病や自殺のリスクを低下させることが、文化や年齢の垣根を越えて示されていると述べている。

「妊婦や乳幼児期の栄養状態も、精神衛生上の新たなリスク因子としてクローズアップされてきました。発育のかなめの時期における必須栄養素の重度の欠乏症は、長期にわたって抑うつ症や精神疾患の発症を高める可能性があります」とジャッカ准教授は述べている。

今回のレビュー報告では、小児と思春期における「不健康」な食生活パターンと精神の健康度の低さの関連も確認されたという。抑うつや不安症の種がまかれる幼い時期の食事が改善されることで、一般的に精神疾患のリスクを大きく低下させることができるという。

今こそ栄養と食生活をカギとする、より統合的な精神医学へのアプローチが必要な時だとサリス博士は語っている。「今こそ臨床医にとって、治療の一環として食生活のあり方を考え、必要な栄養素の供給を行うことで精神疾患の増加に対処する時期ではないでしょうか。」

出典は『ランセット精神医学』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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