公開日:2016-07-25
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欧米では「あなたはあなたが食べた物」というが、もちろんこれはあなたがニンジンを食べたらニンジンになるという意味ではない。ニンジンを好んで食べる人と、牛肉を好んで食べる人は、自然と異なる体型になるだろう、くらいの意味である。
今回デラウェア大学の研究チームは、新しい事実に気付いたという。曰く「子供はあなたが食べた物」。
親子の食事の質と摂取カロリー量を分析した今回の調査で、研究チームは、両者には統計的に有意な関連がみられることを発見した。これは肥満とそれに関連する心血管疾患、糖尿病など上昇を続ける社会問題に対処するための戦略作りに新しい視点をもたらすものだという。米国CDC(疾病管理予防センター)によれば、米国成人の3分の1以上、小児の約17%が肥満である。 約700組の親子を対象に食事の内容を分析した今回の調査で出てきた結果は、あまり好ましいとは言えないものだった。 |
「残念ながら、人々の食事の質は、最高というわけではありませんでした」と筆頭研究者で行動健康栄養学の助教授であるシャノン・ロブソンは語っている。「親の方が子供に比べて良好な食事の質を保っていましたが、それもほんの少しに過ぎませんでした。」
研究チームは、『子供らに対する近隣環境のインパクト』研究に参加した698組の親子のデータを解析した。6-12歳の子供たちとその親がワシントン州とカリフォルニア州で集められ、2007年から2009年にかけて調査が実施された。予備調査によって調査に影響を及ぼすような疾患を持っている人はあらかじめ除外された。
親子の食事データの収集は、無作為に選ばれた3日(少なくとも平日、週末、各1日を含む)における親と子の食事を尋ねることで実施された。参加者の98%以上が3日分の食事データを報告した。
得られた食事データは、HEI-2010(健康な食事インデックス)、DASH(高血圧を止める食事アプローチ)スコア、そしてエネルギー密度(グラム当たりのカロリー)に基づいて点数化された。
HEI-2010は、食事の全体的な「質」を12種類のカテゴリ(例えば、カロリーだけで他の栄養がない「空疎なカロリー」かどうか)について点数を付けることで評価する。DASHスコアは野菜、果物、低脂肪乳製品など8つの食品群をどれだけ食べているかで評価する。 全体的に見て、親の食事の質は高めだったが、それでもHEI-2010の平均点は64.5、DASHは56.6であり、それほど高いものではなかった。子供の食事の質は各々58.3と54.3で親よりも低かった。 ところが、摂取カロリー量は親子でほとんど一緒だったという。子供の平均摂取カロリーが1,751kcalだったのに対し、親のそれは1,763kcalだったのである。 |
近隣環境、肥満度、性別年齢など一般的に食事に影響を与える因子の影響を除外して解析した結果、研究チームは親の食事の質が、子供の食事の質に最も大きな影響を与えていることを発見した。特に子供の食事の質を悪くする要因として、野菜が少な過ぎることと「空疎なカロリー」(ケーキやキャンディ、アイスクリームなど糖分と脂肪ばかり入っている食品のこと)が多過ぎることが挙げられるとしている。
今回の調査データには幾つかの限界が存在すると研究チームは指摘している。特に、参加者の人種・民族構成に偏りがあるという。参加した親のほとんどは母親であったこと、子供についてのデータは親の申告によるものであることも偏りを生む可能性がある。
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