公開日:2013-08-26
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若年性認知症になる人の6割以上が、すでに10代の頃から認知症のリスクを持っているようだ、というスウェーデンの調査結果が『JAMA内科学』誌に発表された。
国際アルツハイマー協会の報告によれば、認知症は2010年現在、全世界で推定3,560万人の患者がいると考えられ、公衆衛生上の主要問題のひとつになっている。高齢者の増加に伴ってますます増えることが懸念されており、2030年には6,570万人、2050年には1億1,540万人に達することが予想されるという。
若年性認知症とは、65歳未満で診断された認知症のことである。働き盛りで発症することが多いので、本人にも周囲にも与える影響が大きいため、予防や早期発見が重要となるが、症状の個人差が大きいことがそれを難しくしているという。老年性認知症に比べて、遺伝的な要因が大きいともいわれるがはっきりしたことはわかっていない。老年性認知症のリスクはいくつか知られているが、それが若年性認知症にそのままあてはまるかどうかも不明だった。
そこで今回、スウェーデン・ウメオ大学の研究チームは、1950-1960年に生まれた約49万人のスウェーデン人男性を対象に、18歳で受ける徴兵検査のデータと37年間にわたる追跡調査のデータから、若年性認知症の発症に影響を及ぼすリスク因子について検討を行った。 |
対象者のうち487名が追跡期間中に若年性認知症を発症した。平均発症年齢は54歳だった。データ解析の結果、認知症の発症に影響を与えたリスク因子として、つぎの9つが明らかになったという。
すなわち、(1)アルコール依存症であると、そうでない場合に比べて、リスクは4.82倍に高まった。同様に、(2)脳卒中を起こしたことがあると2.96倍、(3)抗精神病薬を使用していれば2.75倍、(4)うつ病なら1.89倍、(5)父親が認知症だったら1.65倍、(6)薬物依存症なら1.54倍、(7)認知機能が1単位下がるごとに1.26倍、(8)身長が1単位下がるごとに1.16倍、各々高まった。そして(9)最高血圧は1単位下がるごとに0.90倍と逆に低下した。いずれも18歳の時点での話である。
今回若年性認知症を発症した患者の68%が、これら9つのリスク因子の少なくともひとつ以上をもっていた。またリスク因子を2つ以上もっている場合にはリスクは約10倍に上昇し、さらに認知機能テストの成績が下位にあった場合には、若年性認知症を発症するリスクは20倍以上になったという。 18歳の時点でリスク因子を複数もつ男性は、若年性認知症を発症するリスクが劇的に高まる可能性があるわけだ。特別な注意が必要かもしれない。 |
父親の認知症や低身長といった特徴は、自分ではどうにも改善しようがない。けれども、アルコールや薬物依存はもちろんのこと、血圧、うつ病、脳卒中なども努力すればある程度は予防することが可能であるので、若年性認知症の予防の決め手になりうるのではないか、と研究チームでは結論付けている。
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