公開日:2013-06-12
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中年女性の4割はストレスが原因で体調を崩したことがあり、精神的ストレスを日常的に感じている女性で特にその頻度が高い、とするスウェーデンの調査結果が、医学誌『国際一般診療雑誌』に発表された。
精神的ストレスを日常的に感じているという中年女性は全体の2割弱。とりわけ喫煙、未婚、アパート暮らし、専業主婦、低収入といったキーワードに当てはまる女性で、その傾向が高かったという。年齢的には40-60歳が多く、60歳以上になると減少していくことが追跡調査で明らかにされている。特に50歳代後半で多かったようだ。
今回の調査で明らかになった重要な特徴のひとつとして、精神的ストレスの多い女性たちの腹部痛や関節痛、頭痛などの身体症状を訴える頻度が、ストレスのない女性に比べて、2倍に高まっていたことが挙げられる。具体的な症状としては、筋肉と関節の痛みが40%ともっとも多く、次いで、頭痛・偏頭痛と腹部痛・消化管症状(下痢など)が同列の2位だった。 |
精神的なストレスは、神経やホルモンなどの作用に影響をおよぼし、さまざまな身体症状をもたらすと考えられているが、いまだに不明の部分も多いという。
統計的な処理によって喫煙や肥満度、日頃の身体活動などの影響を差し引いたところ、精神的ストレスが原因となって身体症状が増加していることがより明確に示された結果となりました」と筆頭研究者でヨーテボリ大学サールグレンスカ・アカデミーのドミニク・ハンゲ氏は語っている。
調査は、1968年にスウェーデンのヨーテボリ在住の1462名の中年女性を対象に始められた。6年後(1974年)、12年後(1980年)、32年後(2000年)に再調査が行われ、今回の報告では37年後の2005年の調査を含めた結果が報告されている。
最初の調査時点で身体症状がなかった女性でも6年後の再調査では、1-2割が新たに身体症状を訴えるようになっていたという。やはり第1位は筋肉と関節の痛みで27%、続いて頭痛・偏頭痛、腹部痛・消化器症状の順だった。ここでも、強い精神的ストレスを日常的に感じている女性では、身体症状を訴えるリスクが2倍に高まっていた。
また、研究チームは別の論文で、1968年と2004年の同様の調査を比較して、中年女性の精神的ストレスの頻度が21世紀に入って倍増していることを報告している。
「ただし、1968年からこの方、女性のライフスタイルは極めて多様化しているので、結果の解釈には細心の注意が必要です」とハンゲ氏は語っている。「たとえば、多くの女性が現在では家の外で働くようになっています。当然ストレスのあり方にも変化が見られます。私たちは、研究開始以来、厳密に同じ質問を参加者にするようにしていますが、ストレスの中身はおそらく変化しているでしょう。また自分のストレス経験を認める事は、今日の方が社会的に受け入れられ易くなっています。」 つまりストレスを訴える女性が倍増したのは、ストレスの内実が変化していることとそれを言い易い環境になったせいもあるということだろう。 |
「最も重要なのは、喫煙者、未婚者、専業主婦の女性はストレスに対して特に脆い存在だということです。行政や地域ぐるみの予防対策が必要ではないでしょうか」とハンゲ氏はコメントしている。
興味深いことに、2005年までの37年間で699名の死亡が確認されたが、精神的ストレスは早期の死亡リスクにはほとんど影響しないことがわかったという。もちろん、死ななければ良いというものではないのだが。
研究チームは今後、特に一般の開業医や地域病院で、ストレスに起因する身体症状や病気を治療するためにすべき方法や、個人や社会が職場におけるストレスのリスクを軽減するための方策について検討していきたいとのことである。
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