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公開日:2016-03-28

脂肪と砂糖が安眠の邪魔をする

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米国コロンビア大学の研究チームは、飽和脂肪と砂糖が多く、食物繊維の少ない食事を摂ると、眠りが浅く途切れがちになり、睡眠による回復力が低下するようだ、という研究結果を発表した。

p_111 実験の結果、食物繊維の多い食事を摂ることで、眠りの深い徐波睡眠が多くなることが明らかになったという。対照的に、飽和脂肪の多い食事は、徐波睡眠を減らした。砂糖の多い食事もまた眠りを浅くした。食物繊維は野菜や果物、穀類などに多く含まれる。飽和脂肪は牛肉や乳製品などに多く含まれており、心血管疾患のリスクを高めることが知られている。

「食事の質は、睡眠の質に直結するというのが、私たちの一番の発見です」と主任研究者のマリー・ピエール・サンタンジュ博士は語っている。博士はニューヨークにあるコロンビア大学医療センター人間栄養学研究所の助教授である。「たった1日、脂肪の摂取量が増え、食物繊維が減っただけで、睡眠の質に影響が出たということが最大の驚きでした。」

今回研究チームは、ふだん7-9時間眠っている普通体重の男性13名と女性13名(30-45歳)を対象に試験を実施した。参加者は、5夜連続で、午後10時から翌朝7時までの9時間をベッドの中で過ごした。平均睡眠時間は7時間35分だった。

参加者の食事は、最初の4日間は栄養学者が立てた食物繊維とたんぱく質が多く飽和脂肪や砂糖の少ない健康的なメニューが出された。最後の5日目だけは1日中参加者が好きなものを自由に食べた。睡眠の状態については、決められた食事をした3日目の夜と、自由に摂食した5日目の夜に、睡眠ポリグラフィを用いて測定した。

今回の研究ではまた、栄養学者が考えた通常より飽和脂肪が少なくたんぱく質が多めの食事が、参加者が眠りに落ちるのを早める効果をもたらすことも明らかになったという。参加者が1日自由に食べて飲んだ日は、眠りに落ちるまでに平均して29分かかったのに比べ、既定の食事を摂った日は、平均わずか17分であった。

「食事によって睡眠が影響されるという事実は、健康を維持するうえで極めて重要な意味を持つでしょう。高血圧、糖尿病、心血管疾患などの生活習慣病の発症には睡眠が大きな役割をはたしていることが、ますます明らかになってきているからです」とサンタンジュ博士は語っている。

「本研究結果は、食事と睡眠が健康な生活習慣の網の目に複雑に織り込まれているという事実を明確にするものです」と米国睡眠医学会会長のナサニエル・ワトソン博士は語っている。博士は今回の研究には参加していない。「最大限の健康を得るためには、健康な睡眠を促進する、栄養豊富な食事や定期的な運動といった健康的な生活習慣を確立することが大切です。」

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研究チームによれば、本研究の結果から、睡眠のクオリティを食事によって改善できる可能性が示唆されるという。とはいえ、そのためにはまだまだ多くの研究が必要だろうとのことである。

出典は『臨床睡眠医学雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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