公開日:2025-05-28
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豪州シドニー大学の研究チームは、世界中のデータを解析した結果、より多くの植物性タンパク質(ヒヨコ豆、大豆、インゲンなど)を摂取する人のほうが、平均寿命が長いことを発見した、と『ネイチャーコミュニケーション』誌に発表した。
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研究チームは、1961年から2018年までの世界101カ国の食料供給と人口統計学的データを用いて、摂取タンパク質の種類が集団の寿命に及ぼす影響を解析した。
「私たちの研究が示唆しているのは、集団レベルで肉と野菜のタンパク質が健康に及ぼす影響のかならずしも一貫性のない結果です」と筆頭著者のケイトリン・アンドリュース博士は述べている。 |
「5歳以下の子供においては、大量の動物性タンパク質と脂肪の供給、つまり肉、卵、乳製品などが、乳幼児の死亡リスクの低下に関連付けられました。ところが、成人の場合には真逆でした。つまり植物性タンパク質が、全体的な寿命の延伸に関連していたのです。」
植物性タンパク質と動物性タンパク質が人間の寿命に及ぼす影響を理解するために、研究者らは、公開されている60年に及ぶ101カ国の食糧供給データを解析した。このデータには、国ごとの食糧生産量と利用可能なカロリー、タンパク質、脂質の量が含まれていた。
101カ国には、動物性タンパク質をより多く消費する、豪州、米国、スウェーデン、アルゼンチンなどの国や、植物性タンパク質をより多く消費するパキスタンやインドネシアなど多様な食料システムの国が含まれていた。
異なる国々の食糧供給が寿命に及ぼす影響を比較検討するために、研究者らは、各々の国の財政事情と人口構成の違いを考慮に入れてデータを解析していった。その結果、全体として植物性タンパク質の利用可能性がより高い国(例えばインド)は、動物性タンパク質の利用可能性がより高い国(例えば米国)よりも、寿命が相対的に長いことを発見した。
大量の動物性タンパク質(特に加工肉)を食べることは、さまざまな慢性疾患(心血管疾患、2型糖尿病、いくつかの種類のがん)のリスクの上昇に関連付けられている。 それに対して、植物性タンパク質(豆類、ナッツ、全粒穀物を含む)は、慢性疾患のリスクや全体的な死亡リスクの低下に関連付けられている。多くの研究でプラントベースの食生活は、地球上でもっとも長寿なコミュニティ(沖縄、ギリシャのイカリア、カリフォルニア州のロマリンダ)の寿命の延伸に寄与していることが示唆されている。 |
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「タンパク質は、人間の食生活の重要な一部ですが、食習慣の変化と先進国における脱炭素化への志向によって、私たちがタンパク質をどこから摂取するかがより重要な問題になってきました」と主任研究者のアリスター・シニア博士は述べている。
「プラントベースのタンパク質が長寿と結びつくという知識は本当に重要です。というのも、それは私たちの寿命に影響するからというだけでなく、この惑星の健康にも影響するからなのです。」
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