公開日:2014-02-20
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スマートフォンで夜中まで仕事をすると翌日の仕事に支障をきたし、かえって効率が悪くなる、という米国ミシガン州立大学の調査結果が『組織的行動と人間決断過程』誌に発表された。
米国のさまざまな職種の労働者を対象にした2つの研究によって、ラッセル・ジョンソン博士とその研究チームは、午後9時以降にスマートフォンを仕事関係でチェックする頻度の高い人は、疲労が蓄積し翌日の仕事が積極的にできなくなることを発見したという。
「スマートフォンは、安眠を妨害するためにはほぼ理想的なデザインです」と博士は語っているが、実は彼自身もスマートフォンはベッドサイドに欠かせないアイテムであるという。「私たちの多くが、夜遅い時間までずっとスマホに精神的に縛られており、仕事を切り上げてゆっくり安眠することが難しくなっています。」
米国では成人の半数以上がすでにスマートフォン使用者であり、多くの人がスマートフォンこそ知的作業の能率を大幅に向上させてくれる人類史上最も偉大な発明品のひとつであると考えている、と博士は説明する。 |
しかし、米国立睡眠財団によると、充分な夜間睡眠が取れているのは、全米国人の40%に過ぎず、その大きな原因のひとつとしてスマートフォンが挙げられているのである。
最初の調査では、研究チームは82名の上級管理職に対して、2週間にわたって毎日の生活を記録してもらった。第二の調査では、看護婦、製造業、公認会計士、歯科医師などさまざまな職種の労働者161名を対象に同様の調査を行った。
その結果、どちらの調査からも、仕事のための夜間のスマートフォンの使用は、睡眠時間の短縮と翌日の職場での仕事に対するモチベーションの低下につながっていることがはっきりしたという。第二の研究では、スマートフォンとそれ以外の電子機器(テレビやコンピュータ、タブレットなど)の使用について比較したところ、スマートフォンのほうが他の電子機器と比べてもより広範囲のネガティブ効果をもたらすことも明らかになった。
どうやらこれはスマートフォンが精神をアクティブにしておく効果をもつためだけでなく、画面から出る強い青色光が精神の安定を妨害するためであるようだ。青色光は安眠をもたらす脳内物質であるメラトニンの生成を妨げる。 別の調査によれば、スマートフォンやゲーム機からは、パソコンやテレビ以上の強い青色光が出ているということで、これは今回の調査結果とも一致する。 |
「スマートフォンは両刃の剣なのです」とジョンソン博士は言う。「便利な反面、スマートフォンの夜間使用は、精神的にも肉体的にもヒトの睡眠能力を低下させ睡眠による回復力を奪うのです。スマホの電源を夜間はオフにすれば解決なのですが、現実のビジネスシーンにおいて、これはもはやできない相談というものでしょう。」
「翌日まで延ばして悲惨な結果になるよりも、夜中にスマホを使って翌日のたいして重要でない仕事に支障がでるほうがよっぽどマシだ、というのももっともなことです。でも、普段はよく眠るほうが得策でしょう」と博士はコメントしている。
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