公開日:2017-03-17
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毎日5つの果物・野菜(1つは約80gに相当)を食べることで、心臓マヒ、脳卒中、がん、早死のリスクが大きく低下することが、今回、英国インペリアルコレッジロンドンの研究チームによって確認された。
研究チームは、さらに1日800gの果物・野菜を食べれば最大の効果が得られることを発見したという。この知見は、95件の先行研究を系統的にレビューしてメタ分析した結果である。メタ分析というのは、既存のデータをまとめてひとつの結論を導き出す統計的手法で、ここでは200万人のデータから43,000件の心疾患、47,000件の脳卒中、81,000件の循環器疾患、112,000件のがん、94,000件の早死を対象に解析が行われた。
その結果、研究チームは人々が1日800gの果物・野菜を食べるなら、全世界で1年あたり780万人の早死を予防できると推定した。 |
筆頭研究者のダグフィン・アウネ博士は説明する。「私たちは病気と早死に対して最大の予防効果を得るにはどれほどの量の果物・野菜を食べる必要があるか知りたかったのです。私たちの結果は、1日5つの果物・野菜でも充分有効であるけれども、1日10個ならなお良いことを示唆するものでした。」
具体的に言えば、毎日200g(2.5個)の果物・野菜の摂取で心疾患のリスクは16%、脳卒中は18%、循環器疾患は13%、がんは4%、早死には15%、各々低下するというものだった。それが、800g(10個)まで増やすことで、心疾患は24%、脳卒中は33%、循環器疾患は28%、がんは13%、早死には31%と、より一層予防効果を高められることがわかったという。
英国食事ガイドラインでは、1日5つあるいは400gの摂取を推奨している(日本では野菜350gと果物200g)が、実際に基準を満たす成人は3人に1人もいない。なお、800gは1日のほぼ最大の摂取量であって、それを超える人はほとんどいなかった。1つ(80g)の例を挙げると、小さなバナナ、リンゴ、ナシがそれに相当する。茹でたホウレンソウなら大さじ3杯分である。
研究チームではまた、最大の予防効果をもつのがどんな種類の果物・野菜であるかを分析した。心疾患、脳卒中、循環器疾患、早死の予防には、リンゴ、ナシ、柑橘類や、ホウレンソウ、レタス、チコリーなどの葉物野菜、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科野菜が有望である。がんのリスクを減らすには、緑黄色野菜、緑豆、アブラナ科の野菜が有望である。早死では、生野菜と調理野菜に同様の効果がみられたが、種類については更に研究が必要であるとしている。果物・野菜の種類と予防効果についての研究はまだ限られており、他にも有望なものが存在する可能性が高い。
アウネ博士は、果物・野菜が健康効果を持つメカニズムについて次のように語っている。「果物・野菜は、血中コレステロール、血圧を下げ、血管と免疫系の健康度を高める働きがあります。これは果物・野菜に含まれる種々の栄養素の複雑な働きの結果と考えられます。たとえば、果物・野菜には多くの抗酸化物質が含まれ、DNA損傷を減らし、それががんリスクを下げるのです。」 アブラナ科野菜に含まれるグルコシノレートもがんに予防的に作用するという。また果物・野菜の摂取は我々の腸内細菌にも有益に働くと思われる。 |
「私たちはさらに個別の種類の果物・野菜の効果、調理法による違いなどを検討し続けていく必要がありますが、今回の結果は、極めて明確に、多量の果物・野菜の摂取の健康効果を示すものです。私たちは、なお一層多くの果物・野菜を食べるようにしなければならないのです。」
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