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公開日:2016-08-17

植物性たんぱく質をたくさん食べる人は死亡リスクが低下する!

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いわゆるMEC(ミート、エッグ、チーズ)ダイエットは死亡リスクを高めるようだ、という研究結果が。『JAMA内科学』誌に発表された。

一口にたんぱく質といってもソース(由来)が異なれば健康影響も異なり、植物性たんぱく質(パン、パスタ、豆類)をたくさん食べる人は死亡リスクが下がるが、動物性たんぱく質(肉、卵、乳製品)をたくさん食べる人は死亡リスクが高まるようだ。この影響は、喫煙歴、過度の飲酒、太り過ぎ、身体を動かさない、などの不健康な生活パターンを持つ人で特に顕著だったという。

p_119 「今回の研究は、たんぱく質の種類が長期的な健康の転帰に重要であることを示しています」と本研究の責任著者で米国マサチューセッツ総合病院のミンヤン・ソン博士は語っている。「これまでの研究は、主としてたんぱく質の総摂取量に焦点を当てていましたが、そのたんぱく質をどのような食品から摂るかということも同じくらい重要なのです。私たちの知見はまた公衆衛生的にも重要です。長期的な健康維持には、たんぱく質の“量”だけでなく“質”も大切であるという事実を明らかにすることによって、現在の食事摂取基準をより良いものにする助けになるからです。」

研究チームによれば、食事の炭水化物をたんぱく質に置き換えることで健康上の利益(血圧やその他心血管疾患のリスク因子の低下など)があることを示唆する研究がいくつもあるが、その際たんぱく質の由来に注目した研究はほとんどなかったという。またそれらの研究は規模も小さく通常は研究開始時の1回しか食事調査を行っていなかった。

今回の研究は、1980年に開始されて以来30年以上続く米国の二つの大規模疫学研究のデータを用いて、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質が、総死亡リスクおよび疾患特異的死亡リスクに与える影響を検討したものである。参加者13万人のうち8万5千人が女性であり、平均年齢は49歳だった。この研究ではほぼ4年ごとに参加者の食事調査が実施され、食事の変化が与える影響についても調べられるという特徴があった。

追跡期間中に3万6千名の死亡が確認された。そのうち、9千人が心血管疾患、1万3千人ががんによる死亡で、1万4千人はその他の原因であった。また、参加者の平均たんぱく質摂取量は、動物性たんぱく質が14%で、植物性たんぱく質が4%だった(これはたんぱく質1gを4kcalとしたときの総摂取カロリーに対する割合であり、例えば1日2,000kcal食べる人は、動物性たんぱく質を平均70g、植物性たんぱく質を20g食べていたということである)。

研究チームが、生活習慣や他の食事のリスク要因を調整した結果、動物性たんぱく質の割合が10%高まるごとに、総死亡リスクが2%上昇、心血管系疾患による死亡リスクが8%上昇することが明らかになった。対照的に、植物性たんぱく質の割合が3%高まるごとに、総死亡リスクが10%低下、心血管系疾患による死亡リスクが12%低下することが明らかになった。さらに、動物性たんぱく質のカロリーにして3%分を植物性たんぱく質に置き換えることで、総死亡リスクは最大34%低下した。

動物性たんぱく質の摂取による死亡リスクの上昇は、参加者が肥満か、喫煙、飲酒、動かない生活などの不健康な要素を1つ以上もっている場合に顕著であった。実際、完全に健康的な生活習慣を持っている人々にはリスクの違いはみられなかったという。動物性たんぱく質の中でも問題だったのは、牛肉・豚肉など赤肉と呼ばれる種類の肉であり、鶏肉や魚由来のたんぱく質は特にリスクを高めなかった。

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「私たちは健康的な生活習慣の人々ではリスクの変化が弱くなるだろうと考えていましたが、差が全く無くなってしまうとは予期していませんでした」とソン博士は語っている。「けれどもデータを詳細に解析していくと、極めて健康的な生活習慣を持つ人々は同じ量のたんぱく質を食べていても、その多くが魚介類や鶏肉であって、不健康な赤肉、卵、高脂肪乳製品ではなかったのです。したがって、健康的な生活習慣を持つ人々とそうでない人々のリスクの違いには、この摂取する動物性たんぱく質の由来の違いが大きく関与していると考えています。」

「本研究結果は、人々が動物性たんぱく質よりも多くの植物性たんぱく質を食べるべきだと示唆するものです。また動物性たんぱく質を選ぶなら、魚や鶏肉を選ぶのがベターな選択といえるでしょう。動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の効果の違いの裏に存在するメカニズムについては将来の研究を待たねばなりません」とソン博士はコメントしている。

出典は『JAMA内科学』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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