公開日:2024-12-25
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●研究者らによれば、心血管疾患を予防するのに効果的なのは、植物性たんぱく質1に対して動物性たんぱく質が2の割合のときであり、冠動脈疾患の予防にはさらに多くの植物性たんぱく質を摂る必要がある(植物性1に対して動物性1.3)ようだ。
植物性たんぱく質の摂取量を、動物性たんぱく質に対して相対的に増やすと、心血管疾患や冠動脈疾患の発症リスクが低下することが、米国ハーバード大学の研究で明らかになった。研究者らによれば、これは赤肉や加工肉が植物性たんぱく質に置き換えられた結果であるという。さらに、より多くの植物性たんぱく質というだけでなく、たんぱく質の摂取自体を増やすことで、最大の効果を得ることが可能になる。
世界中の食事ガイドラインが、植物性たんぱく質を多く食べるように勧告しているが、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の最適な摂取比率は依然として不明である。本研究は、摂取比率と心臓の健康についての初めての本格的な報告である。 |
「平均的な米国人は、動物性たんぱく質3に対して植物性たんぱく質1の割合でしか食べていません。私たちの研究によれば、少なくともこの比率を2対1にすれば、心血管疾患の予防に、より効果的になります。冠動脈疾患の予防のためには、1.3対1かそれ以上の植物性たんぱく質が必要になります」と筆頭研究者のアンドレア・グレン博士は述べている。
研究者らは、看護師研究I・II(女性)と医療専門職追跡研究(男性)の203,000人の食事、ライフスタイル、心臓の健康状態について30年間にわたって追跡調査したデータを解析した。この研究では、参加者はほぼ4年ごとの食事摂取について報告しており、たんぱく質はトータル、動物性、植物性について各々の摂取量をグラム単位で算出している。研究期間中に、1万例以上の冠動脈疾患(心筋梗塞など)と6千例以上の脳卒中を含む16,118例の心血管疾患が観察された。
参加者の罹患歴、社会人口学的因子、高血圧や肥満といった生活習慣因子などの影響を調整した結果、動物性たんぱく質に対する植物性たんぱく質の割合が高い人は心血管疾患と冠動脈疾患の発症リスクが低いことが明らかになった。植物性たんぱく質の割合が最も少ない人(1対4.2以下)に比べて、最も割合の高い人(1対1.3以上)は、心血管疾患の発症リスクが19%低く、冠動脈疾患のリスクが27%低かった。
このリスクの低下は、たんぱく質をより多く摂る人でさらに顕著であった。たとえば、たんぱく質を総摂取カロリーの21%摂る人で植物性たんぱく質の摂取割合が高い人は、総摂取カロリーの16%しか摂らない人と比べて、心血管疾患のリスクが28%低く、冠動脈疾患のリスクが36%低かった。
植物性たんぱく質の摂取割合が高くても、脳卒中の発症リスクは低くならなかったが、赤肉や加工肉の摂取をナッツなどの植物性たんぱく質に置き換えると脳卒中のリスクも低下した。 研究者らはまた、より多くの植物性たんぱく質を食べればさらに効果が高まるのか、それともネガティブな影響が現れるのか検討した結果、1対2よりも植物性たんぱく質の割合を高めても、心血管疾患の予防効果は頭打ちになることを発見した。けれども、冠動脈疾患の予防効果は、さらに多くの植物性たんぱく質でも観察された。 研究者によると、こうしたリスクの減少は、赤肉や加工肉を、ナッツや豆類などの植物性たんぱく質源に置き換えることでもたらされた可能性が高いという。こうした置き換えは、血中脂質や血圧、炎症性バイオマーカーなどの心臓代謝リスク要因を改善することがわかっている。これは、植物性たんぱく質には、食物繊維、抗酸化ビタミン、ミネラル、健康的な脂肪が大量に含まれていることが多いためでもある。 |
「私たちの多くは、食生活を植物性たんぱく質にシフトし始める必要があります。肉、特に赤肉や加工肉を減らし、豆類やナッツ類をもっと食べることで、それが可能になります。このような食生活は、人間の健康だけでなく、地球の健康にも有益です」と主任研究者のフランク・フー教授はコメントしている。
なお、今回得られた植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の比率はあくまでも推定されたものであり、真に最適な比率を知るためにはさらなる研究が必要だと研究者は指摘している。
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