公開日:2017-10-16
世界の最新健康・栄養ニュース
朝食をまったく食べない人や、軽くしか食べない人は、動脈硬化のリスクが高まるようだ。これまでも、健康的な朝食をきちんと摂ることが、肥満や高コレステロール血症を予防し心臓を健康に保つことや、朝食欠食が冠動脈疾患のリスクを高めることなどが指摘されていたが、今回、スペイン国立カルロスIII循環器研究所などの研究チームは、病気にまだ至らない無症候性の動脈硬化にも朝食が影響していることを初めて明らかにした。
「いつも朝食を欠食するような人々は、生活習慣全般が不健康な傾向が高いのです」と主任研究者で米国マウントサイナイ医科大学のヴァレンチン・フスター博士は語っている。「本研究は、この悪い習慣(朝食欠食)を積極的に止めることで、心疾患のリスクを低下できるというエビデンスを示しています。」
研究チームは、スペイン・マドリッドで心疾患や腎疾患のない男女を集め、コンピュータによる質問票で普段の食生活について調査した。そこでは朝食のパターンや朝昼晩の摂取カロリーの配分などが調べられた。 |
参加者は、得られたデータを元に、朝食摂取に関して次の3つのグループに分けられた。
参加者 4,052名中、3%の者が朝食欠食群、70%の者が低カロリー朝食群、27%の者が高カロリー朝食群だった。
データ解析の結果、高カロリー朝食群の者と比べて、朝食欠食群の者は、動脈硬化を有するリスクの高いことが明らかになった。意外なことに、低カロリー朝食群の者にも同様に高い動脈硬化リスクのあることが明らかになったという。加えて、心臓代謝系のリスク指標も、朝食欠食群と低カロリー朝食群の両方で高い傾向がみられた。
朝食欠食群はさらに、腹囲、肥満指数(BMI)、血圧、血中脂質、空腹時血糖などの値も高かった。また、生活習慣全般が不健康である傾向が高く、貧しい食生活をしがちな上に飲酒や喫煙の頻度も高かった。高血圧や肥満の割合も多かった。ただし肥満者については、朝食を食べないから太ったのではなく、逆に太ったから減量のために朝食を食べない可能性もある。
「心血管系疾患のリスク因子との直接的な関連がなかったとしても、朝食欠食は、動脈硬化の進行を促進する不健康な生活習慣の指標に使えるでしょう」と主任研究者でタフツ大学のホセ・ペニャルボ助教授は語っている。「私たちの知見は、医療関係者に重要な意味をもっています。食事摂取基準や食事ガイドラインの策定はもとより、生活習慣改善や健康政策におけるシンプルなメッセージとしても使えるでしょう。」 関連エディトリアルにおいて、カリフォルニア大学のプラカシュ・ディードワニア教授は、本研究が、朝食欠食者に無症候性の動脈硬化が多くみられるという重要なエビデンスを示したものであると述べ、以下のようにコメントしている。 |
「貧しい食生活を若いうちからずっと続けていると、心血管系疾患を発症するリスクが高まります。朝食欠食の悪影響は、小児肥満などのかたちで幼いころからすでに現れるのです。もし減量のために朝食を抜いているのだとしても、結果的に後の食事で多く食べてしまい、1日の総摂取カロリーがかえって増えることがしばしばあります。朝食欠食はホルモンバランスを崩したり体内時計を狂わせたりする可能性もあります。朝食が1日の最も重要な食事であることは、今回の研究結果からも明らかです。」
© SUN CHLORELLA CORP.