公開日:2020-06-16
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COVID-19パンデミックによって、世界中でロックダウンや外出自粛が行われ、肥満の子供たちの食事、睡眠、運動にネガティブな影響が出ているようだ、と米国ニューヨーク大学バッファロー校の研究チームが発表した。
『肥満』誌に発表されたこの研究では、2020年3月から4月にかけて、イタリアのヴェローナで41名の肥満小児を対象に調査が行われた。
一年前に実施された調査の結果と比較した結果、子供たちはロックダウンによって、食事回数が増えただけでなく、毎日30分余分に眠り、スマホやコンピュータ、テレビの前で5時間多く過ごすようになっていたという。そして健康にはよくないとされる赤肉、砂糖入り飲料、ジャンクフードの摂取量が劇的に増加していた。 週あたりの運動時間は、2時間以上低下した。野菜の摂取量は以前のままだった。 |
「悲劇的なCOVID-19パンデミックは、直接的なウイルス感染のリスクを超えた副次的な問題ももたらしました」と共同研究者で小児肥満が専門のマイルス・フェイス博士は語っている。「肥満と格闘している子供たちは、外出禁止によって不幸な立場に置かれてしまいました。自宅にこもる生活は、健康的な生活習慣の維持にはおよそ好ましくないものです。」
「このCOVID-19パンデミックによるロックダウンの悪しき影響を認識することは、子供たちが厳格な体重コントロールの意義を台無しにしてしまうのを避ける上で重要です」とフェイス博士は強調している。
「子供たちは、夏休みの間に体重を増やすのが普通です」とフェイス博士は言う。「私たちは、子供たちが家の中に閉じ込められていたら、おそらく生活習慣は夏休みに似てくるのではないかと考えました。」
「学校では、厳密に食事時間、運動時間、睡眠時間が決められていますが、この3つこそが肥満リスクに関わる重要な生活習慣因子なのです」とフェイス博士は説明する。
今回研究チームが調査したのは、ヴェローナで長期の疫学研究に参加している肥満の子供41名である。調査は、イタリアがロックダウンに入った3週目に実施され、2019年の調査データと比較された。調査項目は、身体活動量、睡眠時間、食習慣、特に赤肉(牛肉や豚肉など)、パスタ、菓子、果物、野菜の摂取量などであった。
データ解析の結果、子供たちの行動にはネガティブな変化が認められたという。特に子供たちの体重管理は、学校があったときに比べて格段に悪化していた。 「ロックダウンの長さに依存して体重はますます増加し、それは簡単には落とせないでしょう。そのまま健康的な生活様式を確立できなければ、肥満したまま大人になるのです」とフェイス博士は語っている。 「政府や行政関係者は、このロックダウンがもたらす小児肥満への潜在的なリスクについて熟考し、外出制限をいつどのように解除していくか考えるべきでしょう。」 |
フェイス博士は、家族が健康な生活様式を選択・維持するための遠隔医療ブログラムの確立と評価についても考えるべきだ、と述べている。
博士ら研究チームでは、遠隔医療技術を用いて、子供たちが家にいながらにして肥満を治療するプログラムを検証中だということである。
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