公開日:2017-08-29
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夜中に食事をする習慣のある人は、日焼けが酷くなるかもしれない、という米国テキサス大学の研究結果が、『細胞レポート』誌に発表された。
研究チームは、マウスを用いた動物実験によって、異常な時間帯に食事をすることが皮膚の体内時計を狂わせて、太陽の紫外線から皮膚を保護する酵素の働きを弱めてしまうことを発見した。
人間を対象にした研究での確認が必要だが、本研究結果は、夜遅い食事が習慣となっている人が日焼けに弱くなり、長期的には皮膚の加齢や皮膚がんのリスクを高める可能性を示唆するものといえる、とテキサス大学神経科学部長のジョーゼフ・S・タカハシ博士は語っている。
「この知見は驚きです。私は、皮膚が私たちの食事をする時間に注意を払っているなんて考えてもみませんでした」とタカハシ博士は語っている。博士は有名なハワードヒューズ医学研究所の研究者でもある。 |
研究では、マウスに昼間だけ食事を与えた時の影響が調べられた。これは夜行性のマウスには異常な食事時間である。このマウスに、日焼けの原因となる紫外線B波(UVB)を照射すると、夜間に食事をしたマウスに比べて、皮膚のダメージを受け易くなった。これは、少なくとも部分的には、皮膚の紫外線障害を修復するための酵素の不具合のためだった。この酵素は、色素性乾皮症グループA(XPA)の原因となる酵素で、体内時計が狂ったせいで昼間の酵素活性が弱くなったのである。
「もしあなたが正常な食事時間を保っていれば、あなたの皮膚は昼間の紫外線からより良く守られる、というのはありそうな話です」とタカハシ博士は言う。「もしあなたが異常なタイミングで食事をするようになると、マウスで起きたように、あなたの皮膚の体内時計にも有害な影響が及ぶかもしれません。」
これまでの研究でも、皮膚の生物学的特性が、身体の概日リズムに強く影響されていることが実証されていた。けれども、皮膚自身の体内時計をコントロールしているものがなんであるかは、ほとんどわかっていなかったという。
食事時間が体内時計に影響を及ぼすことは、これまでにも肝臓の代謝などについて報告されてきた。今回研究チームはXPAの概日リズムだけでなく、皮膚で発現する遺伝子のおよそ10%が食事時間によって影響されることを発見した。 人間において、食事時間と紫外線による皮膚ダメージの関係がどうなっているかを明らかにするためには、更なる研究が必要である、と共同研究者のボギー・アンダーソン博士は語っている。 |
「今の時点で、今回の知見をヒトに当てはめるのはかなり難しいでしょう」とアンダーソン博士は言う。「でも、皮膚が食事時間に影響を受けるだろうというのは、私にとって非常に魅力的な考え方です。」
タカハシ博士は、概日リズムを制御する時計遺伝子の発見者として有名であり、食事時間が体内時計に及ぼす様々な影響についての研究を推進中である。今年初めには、同じカロリーでも朝食べるのと午後に食べるのでは体重の減り方が違うことを報告している。現在は食事が加齢と寿命に及ぼす影響についての長期研究を行っているところである。
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