公開日:2025-08-27
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全粒穀物や果物・野菜など、健康的なプラントベースの食生活には、炎症性腸疾患の発症リスクを低下させる効果があるようだ、という中国浙江大学からの研究結果が、『Molecular Nutrition & Food Research』に発表された。
主にベジタリアン(菜食主義者)やヴィーガン(厳密菜食主義者)の食事として知られるプラントベースの食生活(いわゆる、ベジ食)は、種々の疾病リスクの軽減など、さまざまな健康状態の改善と関連付けられている。けれども、ベジ食には、砂糖や精製穀物といった、かならずしも健康に良いとは限らない、むしろ悪影響を及ぼすといわれている植物性食品も含まれている。
そこで今回、研究チームは、食事を、健康的なベジ食品、不健康なベジ食品、動物性食品の3つに分類し、食事調査から、それぞれの摂取傾向を点数化して、それが炎症性腸疾患の発症リスクに及ぼす影響について検討した。 |
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研究者らは、50万人に及ぶ英国バイオバンクの参加者データから、研究登録時に炎症性腸疾患のなかった参加者143,434人のデータを解析した。参加者の食生活は、24時間思い出し法によって調査された。平均14.5年間に及ぶ追跡調査期間中に、1,117人が炎症性腸疾患を発症した(795人が潰瘍性大腸炎、322人がクローン病だった)。
参加者の食生活は、健康ベジ食指標(HP)、および不健康ベジ食指標(UP)に基づいて評価された。全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、豆類、植物油、紅茶/コーヒーを多く食べた人はHPの得点が高くなった。フルーツジュース、加糖飲料、精製穀物、ジャガイモ、菓子/デザートを多く食べた場合はUPの得点が高くなった。
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データ解析の結果、健康ベジ食指標(HP)が高い参加者は、潰瘍性大腸炎の発症リスクが8%低く、クローン病の発症リスクが14%低いことが明らかになった。
一方で、不健康ベジ食指標(UP)が高い参加者は、クローン病の発症リスクが15%高かった。植物油や砂糖が多く含まれるためであろう、と研究者らは考察している。 さらなる血液分析により、健康ベジ食の効果には、炎症増加に関連するいくつかの因子(好中球・白血球・C反応性タンパク質)によって媒介される体内代謝経路の関与が示唆された。 |
研究者らは、健康ベジ食の炎症性腸疾患に対する保護効果は、それらが全体として持つ抗炎症性(食物繊維・ポリフェノール等を含む植物性食品の総合的効果)で説明できる可能性があるとしている。
今回の結果から、果物と野菜には、炎症性腸疾患からの保護効果があるようだ、と研究者らは結論付けている。
「私たちの研究は、健康的なプラントベースの食事が炎症性腸疾患を予防する可能性があり、それには抗炎症作用が重要な役割を果たしていることを示しています」と研究者はコメントしている。
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